◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。
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◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。
◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意
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つづきはこちら
正月といえば、どんよりした空がすぐに思い浮かぶ。
降り出すでもなく、暗くもなく、ただ曇っている。
だからこそ、たまに見える青空や、ときどき降る雪が印象に残っている。
垂れ込めた空は、この地でも変わらなかった。
肌寒さを感じた俺は、パチンコ屋を冷やかすことにした。
年末の大掃除でも逃れてきたのか、店は結構な繁盛ぶり。
ギャンブルは景気と関係ないというが、饐えたような匂いとくすぶった熱気が心地よい。
最後の小銭を玉に変え、時間をつぶす。
隣で常連らしい二人が話している。
「例の賭場、夜通し開かれるそうだ」
「年越しってことかい? 本当か、世の中には酔狂なやつらもいるんだな」
「元旦から博打なんて、ろくな一年じゃねえだろ。――いや、一生治らねえな」
「晦日までこんなとこにいるお前が言う筋か?」
「違いねぇ」
男たちは笑う。俺は片割れに話しかけた。
「なあ、その賭場――どこに行けばいい?」
外に出れば、北風が吹き出していた。
遠くにちら、と覗いた青空。寒さが身を刺す。
それでも少なくとも正月まで、俺の居場所はあるかもしれなかった。
(了)

「さて、そろそろ夕飯作るか」
広げた帳簿を片付け、治が腰を上げる。
新聞を読みながら煙草を吸っていた仲井も、後を追い厨房の方に行く。
「そういや腹減ったたい……」
「仲井ってさ、自分じゃ料理しないの?」
「男がそんなんできるわけなか――と言いたいところやが」
治の方をちら、と見る。
そんな主張は全く無意味なことに気づく。
「――まあ、作れと言われれば」
「ふーん」
治はニンジンを手渡す。
「じゃ、皮むきお願い」
「ああ」
治のところに転がり込み、年を越そうと目論んでいた仲井。治は拍子抜けするくらいあっさりと受け入れた。まるでいっしょに過ごすことが当然のように――。
一人なら面倒で、絶対に台所に立つことなどしなかっただろう。が、こういうのも案外悪くない、と思う。
治は横で、しきりに目をこすりながら玉ねぎをモタモタ切っている。
厨房は狭いから、仲井までなんだか鼻奥がツンとしてくる。
器用に包丁を使いながら、仲井は尋ねる。
「で、これ。何ができるたい」
「カレーだよ」
「カレー?」
「うん」
確かにこの手順はカレー以外の何ものでもなかった。しかし。
「大晦日にカレーて……」
「なんだよ、カレーは体にいいんだぞ。イチローだって毎日食べてるんだから」
「――イチローって誰たい」
「……さあ」
※注:このお話の舞台は昭和40年代です。
「……」
「……」
……。
治はガスに火を入れる。
「肉いっぱい入れるからねーっ。仲井、好きだよな?」
「あ、ああ」
「俺も好きだから、よかった」
そんなことでも嬉しそうに言う。仲井は掠めるように治の顔を見た。
◇◆◇◆
「……なんちゅーか」
夜更け。
食後の一服をしながら、仲井が素直な感想を述べる。
「あんまり年越しって気分やないたい」
「そうかなあ」
治はあまり気にしていないようだった。
「一応、そばは買ってあるけど? カレーそば、する?」
「いや、いいたい……」
「きっと明日の方が美味しいよなー」
(元旦もカレー……)
仲井は複雑な気持ちになるが、果たして、これまでの正月はどうだったか。
たいした記憶がない。
常に人を蹴落とすことを考えてきた自分に安穏は無縁。ここまでのんびりした気持ちで年を越すことなどなかったかもしれない。
――除夜の鐘が聞こえてくる。
煩悩は消えることはなさそうだが、殺伐とした気分は束の間、忘れられた気がする。
「じゃ、お腹もいっぱいになったし」
治は立ち上がった。
「初詣、行こうよ」
「え」
「ほら、早く」
「あ、ああ」
手を引かれ、腰をあげる。
神頼みなど性に合わないが、今なら何か願ってもいい――。
仲井はそんな気持ちになった。
(了)

(ラブシーンあり・がっつり)
つづきはこちら
拍手ありがとうございます!
すみません、一日一話更新を目論んでるんですけど……。
なかなか難しいですね、継続できるように頑張りたいと思います。
ところで。
自分の仲井&治シリーズ(?)、仲井はかなり麻雀強い設定になってますが、一応根拠があって、ずいぶん前にあった近代麻雀の「雀力分析」みたいな企画を元にしてます。私も又聞きなんですが、
1位 アカギ
2位 市川
3位 仲井
4位 浦部
5位 鷲巣
6位 矢木
7位 竜崎
だったそうで、仲井大健闘! 小粒キャラとか言われてますけども。
固い麻雀ということで、現実にいたら最強とのコメントまでありました!
……ま、まあ、通ししてたけどね!
――あれ?
ところでこのランキング……幸雄は……?