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正月といえば、どんよりした空がすぐに思い浮かぶ。
降り出すでもなく、暗くもなく、ただ曇っている。
だからこそ、たまに見える青空や、ときどき降る雪が印象に残っている。
垂れ込めた空は、この地でも変わらなかった。
肌寒さを感じた俺は、パチンコ屋を冷やかすことにした。
年末の大掃除でも逃れてきたのか、店は結構な繁盛ぶり。
ギャンブルは景気と関係ないというが、饐えたような匂いとくすぶった熱気が心地よい。
最後の小銭を玉に変え、時間をつぶす。
隣で常連らしい二人が話している。
「例の賭場、夜通し開かれるそうだ」
「年越しってことかい? 本当か、世の中には酔狂なやつらもいるんだな」
「元旦から博打なんて、ろくな一年じゃねえだろ。――いや、一生治らねえな」
「晦日までこんなとこにいるお前が言う筋か?」
「違いねぇ」
男たちは笑う。俺は片割れに話しかけた。
「なあ、その賭場――どこに行けばいい?」
外に出れば、北風が吹き出していた。
遠くにちら、と覗いた青空。寒さが身を刺す。
それでも少なくとも正月まで、俺の居場所はあるかもしれなかった。
(了)
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