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スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

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野良猫




年末の雰囲気は苦手だ。
そわそわと、追い立てられる気分になる。

博徒だのギャンブラーだのといえば様にもなるが、要はその日暮らしの素寒貧なのだ。
全財産を賭けた勝負に破れ、実際に文無しになったこともある。

そして更に苦手なのが正月だった。

自分もツケの支払いなどに追われるが、金の動きの多い暮れは、稼ぎ時でもある。
しかし、さすがに正月は、頼みの雀荘も休みのところが多い。現在とは違い、食料の調達一つとっても、男所帯には悩みのタネである。

(んー……やっぱり――行くしかなか)

どっちみち治はずっと店にいるはず。
都合のいい時だけふらりと立ち寄る。治は嫌な顔をしないし、一緒に食事をするだけでも、前にも増して楽しそうだった。だが、それが――いたたまれない。

(まるで……野良猫たい……)

自虐的な連想が頭を掠める。。
以前の自分はそんな風に感じただろうか。治に惹かれているからこそ、後ろめたいのかもしれなかった。

――欲得尽くの計算半分でドアを開ける。


「あ、仲井、いらっしゃい」


懸想相手は、掛け値なしの笑顔で出迎えてくれた。
まいったな、と思う。







以下あとがき(私信?)です
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つづきはこちら

御礼

拍手ありがとうございました!

登録しているサーチ様の紹介内容を少し変えたからか、新しく訪れていただく方も増えたみたいですねー。
ブログの方はひんぱんに書いていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします☆

バナーも……なんかいろいろ残念な仕上がりで申し訳ないですが……限界っ!
自分の限界ですよ……あれが……orz


以下、感想のお返事です。

つづきはこちら

薄闇

エロシーンあり・軽め

つづきはこちら

憧れの……





「井川君は旅行したりするの? 帰省とか?」
「あ、いや……」
「無理だろ、コイツの部署めちゃくちゃ忙しいから、正月なんかねーよ」
「マジで? 優秀だと大変だねー、かわいそう」
「はは……」

本当は忙しい方がいいんだ。余計なことを考えずにすむ。
だが、そんなことをここで言ってもしょうがない、よな。

半ば無理矢理付き合わされた飲み会。同期とは言っても、それほど話をしたことのない面々の中に放り込まれ、一人粛々と酒を飲む。


俺というヤツは、いつもこうだ。
周りに流され、自分のことさえも決められずにいる。

俺――これまで何か、自分で決めたことなんかあったか?


煙草を一本取り出し、マッチで火をつける。オレンジ色の炎がぼっと燃え上がり、紙が焦げる匂いが立ち込める。


「やっぱりハワイじゃない?」
「えー? ちょっとぉ、まだバブル気分?」
「香港や韓国がいいよ、今安いってよ」
「そう?」

話題はまだ旅行先についてだった。しかし、思わずつぶやいていた。

「ハワイか……」
「井川君もそう思う? ハワイ、いいよねっ?」

俺は答えず、煙草を口に持っていった。


そうだな、あの時はたしかに俺――。
自分の意志で。
何が何でも打ちたくて。
がむしゃらだった。

ハワイにいた赤木さんを拝み倒して……。


赤木さん。

天さん。

沢田さん。


――俺とは違う世界の人たち。


一秒一秒、気を抜けない熱い勝負の世界。
俺はあまりに無力だった。そして、自分の分を知った。


でも、だからといって、ここが俺の世界なのか。

会社員だからどうこう言うわけじゃないんだ。
だって現にこいつらは――なんというか――イキイキしている。

日々を積み重ねることに何のためらいもない。躊躇もない。だってそれはアタリマエのことだから。未来やこれからの予定を楽しそうに決める。

自分だけだ。どうにも――淀んでいるのは。
何とも言えない隔絶感。どうしてなんだろう。


俺はたなびく煙を見つめた。
家で酒を飲むのと違い自制しているから、それほど酔ってはいない。
いや、麻雀を止めた時から、俺は心を何かに預けることなどなかったかもしれない。


自分で決めたはずだったこの生活。
だけど本当は、天さんたちに勧められて……そのまま、賭博から足を洗ったのじゃなかったか。


――ふふ。今度は人のせいにしてるよ。ホント、俺っていつまでも……。

あの人は絶対にそんなことはしないよな。
自分にすべて由っている。
自由な人。
自由――。

赤木さん。


何故か抜けるようなハワイの空が浮かぶ。

俺はまだ吸い途中の煙草を灰皿に置き、机に突っ伏した。
酔いが一気に回ってくる。


「ハワイ、いいよねー……俺の……憧れの……」
「あれ。ちょっと井川くーん……。寝ちゃった」
「ほっとけほっとけ、あ、それ消しといてよ。それより二次会どこにする?」


店の主人に起こされるまでの、束の間の仮眠。
遠くなる同僚の声を聞きながら、俺は久しぶりに、青い空の夢を見た。
憧れの人は、静かに笑っていた。





映画

(ラブシーンあり・軽め)

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