◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。
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(ラブシーンあり・軽め)
「映画?」
「そ。お客さんにチケットもらったんだ」
半身を起こし、差し出しされた券をちら、と一瞥する。
最後のひと吸いをして、タバコを揉み消す。
「なんや任侠モノかい」
「うん、博打の話みたいだよ。仲井も気に入るかなーって思った。面白そうだろ?」
「せやな……」
うれしそうな治の顔に、うなずくしかない。
明日は休日。仲井の方は暦と関係のない生活だが、最近は治に付き合うことが多いので、休み前ののんびりした気分を味わえるようになっている。
しかし。
どうせ治と映画を観るなら、もう少し色気のある方がいいのだが、などとも考える。
(――いやいやいや。男二人で恋愛映画なんて……それはかなり……不気味たい)
チケットを大事そうにしまい、寝床に戻ってきた治に、そっと顔を近づける。
「ん……」
治もすぐに唇を押し当て応えた。お互い座したまま、口付けを交わす。もう夜も遅いが、時間ならたっぷりあった。
(こん人とは……ここでこうやっているだけで……おいは満足たい)
そんな殊勝な心がけとは裏腹に、明日のことを思うと仲井の心は躍った。
◇◆◇◆
「すごかったなあっ……!」
「んー」
治は半分夢見心地でしゃべっている。
何も言わずに煙をくゆらせる仲井だったが、少し顔を紅潮させ、映画の余韻に浸っている治を見ていると、値段分の元を取ったような気持ちになる。もちろん、元々タダではあるのだが。
「あーカッコ良かったなあ、俺もあのくらい強かったらな~」
そんな言葉に、ふと仲井の心に影が差す。
治が憧れる存在。
まるで本当に映画の主人公のような存在のことを思い出したからだ。
治はその男について、仲井の前でも臆面なく口にする。そのたびに引き裂かれるような想いをする自分のことを、治は知らない。
「だけどさあ」
ふと思い出したような表情をする。
刹那身構えると、治は仲井の顔をまじまじと見つめながら呟いた。
「映画を観て、食事して――って、俺たちホントに恋人みたいだよね」
ぶっ、とコーヒーを噴く。
「な、な、何言っとう……」
「俺、仲井と出かけるの楽しいなあ」
屈託なく言われると、返す言葉も浮かばずに頭が白くなる。
(どうして、こん人は……)
だが、思いは伝えなければ届かない。仲井はゆっくり言葉を探る。
「な、何を今さら……やけど、確かに」
まるで返事を強制されているような視線に、ふいっと目を逸らす。
それから一息ついて、吐き出すように言う。
「……たまには悪くないたい」
「なんだよ、じゃ、もっと楽しい顔すればいいのに~」
「うるさいたい、こん顔は生まれつきたい!」
口をとがらす治を睨みながら、ゆっくりと煙草の続きを吸う。
治が自分と同じ気持でいたことが、何より嬉しいと思った。
了
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