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ラブシーンあり・がっつり
かぽーん、と洗面器が床にぶつかる音がこだまする。
「はあー……。こんなにのんびりしちゃっていいのかな……幸せ」
治がうっとりとつぶやけば、仲井はしたり顔で、
「なあ? 言った通りばい」
言いながら自分も湯船に入る。縁までぎりぎりに張った湯が、音を立てて溢れた。
「極楽たい……」
――開店前の銭湯。
時々一緒に卓を囲むここの主人に頼まれ、仲井は風呂掃除のアルバイトを引き受けた。他の従業員が体調を崩し、人手が圧倒的に足りないとのこと。ゆっくりしたいと文句を言う休日の治を強引に引っ張り出し、清掃の後、二人で一番風呂の特権を満喫しているのだった。
「掃除はキツかったけど、これは――病み付きになるかも」
まだそれほど熱くないので、長めに入っていてものぼせるほどではない。
治は浴槽の縁に腕をかけ、半分夢見心地。仲井も体を投げ出していたが、そのうちに、タオルを腰に巻き、先に外に出る。治は目を開けた。
「あー……半分寝てたよ。体洗う?」
「おう」
「じゃ、オレが三助やってあげようか?」
「えっ……いや、いいたい」
「なんだよ、遠慮するなって」
治も仲井と同様に浴槽から上がる。石鹸と垢擦りを手に、背中をこすり始めれば、仲井はそれ以上何も言わなかった。
「いっしょに銭湯、久しぶりだな」
「ああ」
「仲井、風呂好きだねー。毎日入ってるの?」
「はあ? 当然たい。男の身だしなみ……」
「そういうもんかなあ」
「――ちゅうことはまさか……治はん……」
「ん?」
仲井は石鹸のついたタオルをひったくった。
「あんさん、毎日入っとらんのか!」
「痛い痛い、そんなにこすったら痛い!」
治の腕を掴んでごしごしとやり始めた。
「犬じゃないんだから……そんなとこ、自分で出来るよっ」
「犬とおんなしたいっ! どういうこっちゃ、全く」
「忙しい時はしょうがないだろ」
「何言ってるたい、ホンマに。あそこシャワーついとるやろが」
「えー? うん……」
「ほら、座るたい!」
自分の場所に座らせ、そのまま足を洗う。くるぶしから膝裏と、プラスチックの椅子に座ったままの治を、膝立ちし、半ば抑えつけるように洗う。
「汚れやすいとこ、ちゃんと洗わんと」
「いいよホントにっ。もう、自分で……やるっ……から」
手を離そうとする相手を無視して、腿の辺りまで勢い込んで洗う。そこで治がぴくりと身悶える。
「やっ……くすぐった……」
「ん?」
色を含んだ声で囁かれれば、仲井の理性はすぐに焼き切れてしまう。思わず手が止まり、治を見あげる。
「ここ、こそばいのか?」
内腿をすっと撫で上げる。
「ひっ……! ――な、なんだよ急に」
「なんだ、はこっちのセリフたい――そんな声出して」
「だ、だって……そんなとこっ、くすぐったいの当たり前だろ」
ぬるぬると泡を広げるように触れば、声を立てないようにか、治は目と口をきつく閉じる。その表情を堪能しながら、仲井はしれっと答える。
「まあ、せやな……じゃ、こっちは?」
反対の足も同じように撫でる。息を呑む治。仲井は躊躇せずにタオルの下へ侵入する。
「あっ、ダメ……」
「なにたい、いつも嬉しがるクセに」
そのまま後孔をぬるりとなぞる。弛緩したその場所は、仲井の指を受け入れる。タオルが動き、前の方でも反応があったことを示した。
「んっ……う~……馬鹿っ!」
だが仲井の腕を掴む手には、力が入る。治は本気で抗っている様子だった。
仲井は指を引き抜く。
「どした?」
「やめろよ、こんなとこで……」
昼日中の銭湯、治の心配ももっともであるが、仲井は取り合わない。
「なんや、そんなん大丈夫、大丈夫」
「えっ」
「開店までには時間たっぷりあるたい。誰も来んとよ」
「だって御主人は」
「火の番してるたい。こっちには顔出さん」
「そう、かなあ」
しかし治はその言葉に安心したようだった。仲井が膝立ちし、顎を指で軽く持ち上げて口付けをすると、瞳を閉じ、首に手を回してくる。仲井にとってはそんな様子がいとおしく、思わず抱きしめる。
「ホンマに……」
「ん?」
仲井は答えず、治の首から胸に唇を這わせる。薄紅色に染まった突起を口に含む。
「っ……」
治は仲井の頭を弄ぐっていたが、歯を立てられると小さく息を漏らし、動きを止めた。硬さを増した両の乳首に、手で、口で二度、三度と刺激を与える。
「……あ……やだっ……それ……」
頭にぎゅっと力が加わる。タオルを剥ぎ取れば、治の前方は固く張り詰めていた。先走りを優しくなぞり、強請るままにさせる。
「んっ……ね、仲井、は……?」
頭の上から官能が落ちてくれば、仲井の雄はすぐにタオルを持ち上げる。
「なんや、そんなにがっついて……。――あ。こっち行こうばい」
「え?」
治に湯船の縁を抱えさせる。
「もちっと、尻上げんと」
「だって――恥ずかしい、この格好……」
「後ろから、いつもやってるたい」
「そうだけど……」
いわゆる――ワンワンスタイルで、膝が少し浮くくらい後ろを上げている。もちろん大事なところが丸見えのわけなのだが……。
「下、膝ついたら痛いばい」
「――えっ」
(それって、オレを気遣って――くれてるのかな?)
考えようとしたところで、ぬるりとした異物が侵入してくる。
すでに馴らされているからなのか、治のそこは、すぐに仲井を受け入れた。
「んっ……」
後ろから攻められる。膝に力が加わらないので、腕で踏ん張るしかない。だが仲井に腰を掴まれ、押され、ときにぐりぐりと動かされるうちに、治の中で何かが蕩けていく。
「やっ……あぁ……ん……なか……い……」
風呂場の熱気。
自分の、相手の息遣い。
快楽。
「治っ……!」
微かな仲井の声。
そして放出された欲に押され、治自身も精を吐き出す。その瞬間……。
「……っ!」
世界が明滅し――暗転した。
◇◆◇◆
「大丈夫か?」
目を開ければほっとしたような仲井の顔。治は脱衣所で寝かされていた。
「あれ、オレ……」
「失神してたばい」
「ええっ?」
どうやら仲井が着替させてくれたらしい。既にきちんと服をつけている。
「のぼせたのかな」
「疲れてたばい」
「そうかな」
「それとも……」
仲井は真顔で聞いた。
「――そんなに良かったんか?」
「ば、馬鹿っ!」
「何にせよ……ホンマに」
「え?」
それ以上何も言わずに治を抱きしめる。
(仲井――)
その先になんと言おうとしているのか、聞いても教えてくれないだろうという予感がした。治は目を閉じる。
「はあ……オレ、幸せ――」
ところが仲井はぱっと、体を離した。
「なにたい、その、風呂にでも浸かってるようなセリフ」
「はあ? なにがだよ」
「どうせまた、暖かいとかなんとか言うたい」
「何言ってんだよっ。人がせっかく……。まあいいや」
治は笑った。
「じゃ、次はオレに付き合ってもらうからね! 買い物いっぱいあるからな!」
「えぇっ? 聞いてないたい!」
「約束だろ、掃除手伝ったらオレの言うこと聞くって。とりあえず、コーヒー牛乳飲んでから……店までおんぶかな」
「はあっ?」
後日。
この姿を目撃した常連たちに、仲井がさんざんからかわれることになるのだが――それはまた別の話である。
(了)
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