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スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

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銭湯

ラブシーンあり・がっつり





かぽーん、と洗面器が床にぶつかる音がこだまする。

「はあー……。こんなにのんびりしちゃっていいのかな……幸せ」

治がうっとりとつぶやけば、仲井はしたり顔で、

「なあ? 言った通りばい」

言いながら自分も湯船に入る。縁までぎりぎりに張った湯が、音を立てて溢れた。

「極楽たい……」



――開店前の銭湯。

時々一緒に卓を囲むここの主人に頼まれ、仲井は風呂掃除のアルバイトを引き受けた。他の従業員が体調を崩し、人手が圧倒的に足りないとのこと。ゆっくりしたいと文句を言う休日の治を強引に引っ張り出し、清掃の後、二人で一番風呂の特権を満喫しているのだった。


「掃除はキツかったけど、これは――病み付きになるかも」

まだそれほど熱くないので、長めに入っていてものぼせるほどではない。
治は浴槽の縁に腕をかけ、半分夢見心地。仲井も体を投げ出していたが、そのうちに、タオルを腰に巻き、先に外に出る。治は目を開けた。


「あー……半分寝てたよ。体洗う?」
「おう」
「じゃ、オレが三助やってあげようか?」
「えっ……いや、いいたい」
「なんだよ、遠慮するなって」

治も仲井と同様に浴槽から上がる。石鹸と垢擦りを手に、背中をこすり始めれば、仲井はそれ以上何も言わなかった。

「いっしょに銭湯、久しぶりだな」
「ああ」
「仲井、風呂好きだねー。毎日入ってるの?」
「はあ? 当然たい。男の身だしなみ……」
「そういうもんかなあ」
「――ちゅうことはまさか……治はん……」
「ん?」

仲井は石鹸のついたタオルをひったくった。

「あんさん、毎日入っとらんのか!」
「痛い痛い、そんなにこすったら痛い!」

治の腕を掴んでごしごしとやり始めた。

「犬じゃないんだから……そんなとこ、自分で出来るよっ」
「犬とおんなしたいっ! どういうこっちゃ、全く」
「忙しい時はしょうがないだろ」
「何言ってるたい、ホンマに。あそこシャワーついとるやろが」
「えー? うん……」
「ほら、座るたい!」

自分の場所に座らせ、そのまま足を洗う。くるぶしから膝裏と、プラスチックの椅子に座ったままの治を、膝立ちし、半ば抑えつけるように洗う。

「汚れやすいとこ、ちゃんと洗わんと」
「いいよホントにっ。もう、自分で……やるっ……から」

手を離そうとする相手を無視して、腿の辺りまで勢い込んで洗う。そこで治がぴくりと身悶える。

「やっ……くすぐった……」
「ん?」

色を含んだ声で囁かれれば、仲井の理性はすぐに焼き切れてしまう。思わず手が止まり、治を見あげる。

「ここ、こそばいのか?」

内腿をすっと撫で上げる。

「ひっ……! ――な、なんだよ急に」
「なんだ、はこっちのセリフたい――そんな声出して」
「だ、だって……そんなとこっ、くすぐったいの当たり前だろ」

ぬるぬると泡を広げるように触れば、声を立てないようにか、治は目と口をきつく閉じる。その表情を堪能しながら、仲井はしれっと答える。

「まあ、せやな……じゃ、こっちは?」

反対の足も同じように撫でる。息を呑む治。仲井は躊躇せずにタオルの下へ侵入する。

「あっ、ダメ……」
「なにたい、いつも嬉しがるクセに」

そのまま後孔をぬるりとなぞる。弛緩したその場所は、仲井の指を受け入れる。タオルが動き、前の方でも反応があったことを示した。

「んっ……う~……馬鹿っ!」

だが仲井の腕を掴む手には、力が入る。治は本気で抗っている様子だった。
仲井は指を引き抜く。

「どした?」
「やめろよ、こんなとこで……」

昼日中の銭湯、治の心配ももっともであるが、仲井は取り合わない。

「なんや、そんなん大丈夫、大丈夫」
「えっ」
「開店までには時間たっぷりあるたい。誰も来んとよ」
「だって御主人は」
「火の番してるたい。こっちには顔出さん」
「そう、かなあ」

しかし治はその言葉に安心したようだった。仲井が膝立ちし、顎を指で軽く持ち上げて口付けをすると、瞳を閉じ、首に手を回してくる。仲井にとってはそんな様子がいとおしく、思わず抱きしめる。

「ホンマに……」
「ん?」


仲井は答えず、治の首から胸に唇を這わせる。薄紅色に染まった突起を口に含む。

「っ……」

治は仲井の頭を弄ぐっていたが、歯を立てられると小さく息を漏らし、動きを止めた。硬さを増した両の乳首に、手で、口で二度、三度と刺激を与える。

「……あ……やだっ……それ……」

頭にぎゅっと力が加わる。タオルを剥ぎ取れば、治の前方は固く張り詰めていた。先走りを優しくなぞり、強請るままにさせる。

「んっ……ね、仲井、は……?」

頭の上から官能が落ちてくれば、仲井の雄はすぐにタオルを持ち上げる。

「なんや、そんなにがっついて……。――あ。こっち行こうばい」
「え?」

治に湯船の縁を抱えさせる。

「もちっと、尻上げんと」
「だって――恥ずかしい、この格好……」
「後ろから、いつもやってるたい」
「そうだけど……」

いわゆる――ワンワンスタイルで、膝が少し浮くくらい後ろを上げている。もちろん大事なところが丸見えのわけなのだが……。

「下、膝ついたら痛いばい」
「――えっ」

(それって、オレを気遣って――くれてるのかな?)

考えようとしたところで、ぬるりとした異物が侵入してくる。
すでに馴らされているからなのか、治のそこは、すぐに仲井を受け入れた。

「んっ……」

後ろから攻められる。膝に力が加わらないので、腕で踏ん張るしかない。だが仲井に腰を掴まれ、押され、ときにぐりぐりと動かされるうちに、治の中で何かが蕩けていく。

「やっ……あぁ……ん……なか……い……」

風呂場の熱気。
自分の、相手の息遣い。
快楽。

「治っ……!」

微かな仲井の声。
そして放出された欲に押され、治自身も精を吐き出す。その瞬間……。

「……っ!」

世界が明滅し――暗転した。



◇◆◇◆



「大丈夫か?」

目を開ければほっとしたような仲井の顔。治は脱衣所で寝かされていた。

「あれ、オレ……」
「失神してたばい」
「ええっ?」

どうやら仲井が着替させてくれたらしい。既にきちんと服をつけている。

「のぼせたのかな」
「疲れてたばい」
「そうかな」
「それとも……」

仲井は真顔で聞いた。

「――そんなに良かったんか?」
「ば、馬鹿っ!」
「何にせよ……ホンマに」
「え?」

それ以上何も言わずに治を抱きしめる。

(仲井――)


その先になんと言おうとしているのか、聞いても教えてくれないだろうという予感がした。治は目を閉じる。

「はあ……オレ、幸せ――」

ところが仲井はぱっと、体を離した。

「なにたい、その、風呂にでも浸かってるようなセリフ」
「はあ? なにがだよ」
「どうせまた、暖かいとかなんとか言うたい」
「何言ってんだよっ。人がせっかく……。まあいいや」

治は笑った。

「じゃ、次はオレに付き合ってもらうからね! 買い物いっぱいあるからな!」
「えぇっ? 聞いてないたい!」
「約束だろ、掃除手伝ったらオレの言うこと聞くって。とりあえず、コーヒー牛乳飲んでから……店までおんぶかな」
「はあっ?」



後日。
この姿を目撃した常連たちに、仲井がさんざんからかわれることになるのだが――それはまた別の話である。



(了)
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