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気がつけば濃密な闇を見ていた。
(暗い……)
そこに在るのは押し潰されそうな不安。
耐えられない。逃げ出したくてたまらなかった。
(いやだ……早く……どこか……)
すると暗褐色の中、白い色が浮かび上がる。
(あ……)
懐かしい白銀の光。その光を見ていると、とても安心する。
それなのに、光は次第に闇に飲み込まれていく。
(やめて、消さないで……)
輝きが小さく、小さくなっていき、そして――。
「アカギさんっ……!」
目が覚める。
ここは――布団の中。
「大丈夫か」
横で寝ていた仲井はいつも通りの声で言う。
「あ、あれ? 俺……」
「うなされとったばい」
「えっ?」
「アカギはんの……夢見たんか」
夢の内容は忘れている。しかし、そう言われてみればそうだったか。叫んだ自分の声が耳に残っている。治は仲井にすがるようにして口を開いた。
「俺……なんでっ……あの人は……独り……」
既に霧散した夢を説明しようとしても上手くいかない。
彼の孤独――。
寄り添えた日々と決別。
言葉に詰まる治。
「――ええって」
仲井にそう言われると、混乱が少しおさまる。涙の残る目元を指でなぞられた。
「なんや、泣いとったんか」
「う、うるさいな」
ばつが悪くなり、顔を逸らし目をつぶると、思い切り抱きしめられる。
「……っ? 仲井……苦しい」
しかし仲井は力を緩めない。
「――仲井?」
「アカギはんは……大丈夫たい」
仲井にはわかっている。アカギの破滅の匂い。
おそらく、治も本能的に死へ向かうアカギの姿を感じているのだろう、と思う。
しかし、そのことは言っても仕方がない。
だから、ただ言った。
「あん人は負けるような人やないたい――知ってるやろ」
治は仲井の腕の中で頷く。ふわっと力が緩められ、頭をなでられる。
「よしよし、ええ子たい」
「子ども扱いするなよ……」
言葉端に元気が戻るのを聞き、仲井は体を離して、治を隣へ促す。
「じゃあ、ほら、さっさと寝るたい」
「うん……」
治は元の位置に戻る。そして仲井の方を向いて聞いた。
「仲井ってもしかして……優しい?」
「なっ、何言っとう……」
「ありがと」
微笑みながら呟き、目を閉じる。
何か言いたそうにしていた仲井だったが、治が目を開けないので、そのまま仰向けに直った。
しばらく天井を見つめ、枕元の煙草に手を伸ばしかけて思い直す。
それから隣から寝息が聞こえてくると、自分も目を瞑った。
(了)
※あとがきあります
あくまで自分の中の設定ですが。
時系列的には、一連の『大晦日』シリーズより、大分前の話になります。
HPの方の、『純平』の後には、こんな夜もあったかなーと思って書いてみました。
まあ、でも初夢ということでもいいんですけどね^^
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