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ラブシーンあり・軽め
「あーっ……!」
厨房にいた治が、突然大声をあげる。
「何事たい?」
様子を見に行くと、シンクの棚を開けて座り込んでいる。視線の先には――銀色のラベルに包まれた瓶。
「なにたい、それ」
「シャンパンだよ」
「シャンパン? それがどうして『あーっ』なんたい」
「クリスマスに飲みな、って貰ったのに、開けるの忘れてた」
仲井は、なんだ、という顔をする。
「そげなことで大騒ぎしなくても」
「だってホントに忘れてたからさ。あー、石川さんに怒られちゃう……」
「今から飲めばいいたい。めでたい正月ばい」
「ま、そうだね。仲井がいて良かった~」
クリスマスにはお互い独りですごしていたのだから、丁度良かったともいえる。
しかし。
「おいはいらんよ」
「え」
「そんくらい、治はん一人でも大丈夫やろ」
「え~っ」
「それより、夕飯はカレー以外で頼む……」
勝手なことを言って部屋に戻る。治はとりあえず冷蔵庫にシャンパンを終った。
◇◆◇◆
「別に酒が苦手じゃないんだろ? お屠蘇代わりに飲めばいいじゃないか」
おせちも何もなく、メニューもいつも通りの簡素な食事であるが、気分だけは松の内。のんびりした空気の中、治はグラスを重ねる。しかし仲井の方はといえば、なぜか頑なに酒を拒む。
「オナゴやなしに、そげな甘ったるいもん飲めんたい」
「よくいうよ、甘いもの好きなくせに」
「そ、そんなことないたい!」
「なんで怒るんだよ~……。まあ確かにこれ、甘いなー」
既に瓶は半分以上空いていた。酔いが回ってきた治は、仲井にしなだれ掛かる。
「仲井ー」
「なにたい」
「俺と結婚してー」
「ばっ……!」
見れば目が据わっている。そろそろマズイ状態かもしれない。
「悪い酒たい……わかった、もうやめとき」
「嫌だ。俺、仲井といっしょに飲みたいー」
グラスをくいっと空け、治は立ち上がる。
「おい……」
手洗いにでも行くのかと思えば、治は立ったまま腰を屈め、仲井に口付けた。
(……っ!)
酒で潤った唇に退路を絶たれる。
突然のことに目を閉じる間もなかった。
喉を甘い液体が通り抜けると、仲井の頬は上気する。そして――甘露は一瞬で理性を崩す。
しかし、仲井が貪ろうとするより早く、治は口を離した。
「な、美味しいだろ?」
「う……」
仲井を見下ろして、得意そうに言う治の顔は真っ赤だった。もっとも、こちらは明らかに酒のせいのようだ。
「卑怯たい……」
まさか自分が治相手に、そんなセリフを吐くなんて――。
仲井は思った。
(了)
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