忍者ブログ

スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

飛行機雲




(けっ、どいつもこいつも浮かれやがって――)

街を歩けば、クリスマス一色。バイト先までは特に人通りも多いせいか、いたるところにきらびやかな垂れ幕がかかり、サンタやツリーが目に飛び込んでくる。

(何がクリスマスだよ。お前らがへらへらしてる間に、働いてる人間もいるっていうんだよ)

サンタの服装をした女の子からティッシュを受け取る。なんとなく親近感を覚える。
かといって、自分も仮に休みだとしても一緒に過ごす人間とていない。きっと家でテレビを見ながら腐っているか、パチンコにでも行くだけだろう。まだこうやってバイトをしている方がましというものだ。

勤務先のコンビニでも赤や緑、金色の装飾がけたたましい。思わず目を塞ぎたくなる。 仏頂面でレジ打ちをしていれば、カップルが何組も訪れる。酒だのつまみだのアイスだのを買っていくが、なぜか自分が普段買うものとは明らかに違う華やかさがある。

(くそっ)

お釣りを落とし、男に文句を言われた。
萎縮して謝った後には、店を出る間際、女の方がくすくす笑いながら追い打ちをかける。
「クリスマスだってのに、バイトなんてかわいそーっ」

(――ぐっ……。ああ、くそっ、何だってんだよっ……!) 

だが、ありがとうございました、と頭を下げるしかない。
店長がどなる。

「カイジくん! ゴミ出しまだやってないのー?」
「あっハイ、すみませんっ……!」


外に出る。案の定、ダストボックスにはゴミがあふれている。だが今日はまだましだ。きっと明日の朝、この辺りは酔客の残した土産――汚物まみれになっていることだろう。

(ま、俺のシフトじゃないからいいけど。佐原のやつザマーミロ)


ちらばったカップ麺の箱やペットボトルを袋に押し込む。
天気は快晴。
コンビニの制服でもそれほど肌寒くなかった。ふと、上を仰ぎ見る。

(あれ、クリスマスの日って、こんなに青空だったか?――あ)

飛行機が白い筋を引きながら空を行く。
きっと気候の条件が揃っているのだろう、よく見れば真っ青な空に何本も飛行機雲が描かれていた。


(――姉さん、元気かな)

左手で陽の光を遮りながら、カイジはゴミ袋を持ったまま、眩しそうに空と雲を見つめていた。





PR

コメント

コメントを書く

お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

トラックバック

この記事にトラックバックする:

カテゴリー

最新記事

プロフィール

HN:
Indy
自己紹介:

ブログ内検索

アーカイブ

最新コメント

[09/10 NONAME]
[07/22 NONAME]
[03/31 NONAME]
[03/30 NONAME]
[05/24 Indy]

リンク

最古記事

(12/18)
(12/18)
(12/19)
(12/19)
(12/20)

フリーエリア

RSS

忍者アナライズ