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(けっ、どいつもこいつも浮かれやがって――)
街を歩けば、クリスマス一色。バイト先までは特に人通りも多いせいか、いたるところにきらびやかな垂れ幕がかかり、サンタやツリーが目に飛び込んでくる。
(何がクリスマスだよ。お前らがへらへらしてる間に、働いてる人間もいるっていうんだよ)
サンタの服装をした女の子からティッシュを受け取る。なんとなく親近感を覚える。
かといって、自分も仮に休みだとしても一緒に過ごす人間とていない。きっと家でテレビを見ながら腐っているか、パチンコにでも行くだけだろう。まだこうやってバイトをしている方がましというものだ。
勤務先のコンビニでも赤や緑、金色の装飾がけたたましい。思わず目を塞ぎたくなる。 仏頂面でレジ打ちをしていれば、カップルが何組も訪れる。酒だのつまみだのアイスだのを買っていくが、なぜか自分が普段買うものとは明らかに違う華やかさがある。
(くそっ)
お釣りを落とし、男に文句を言われた。
萎縮して謝った後には、店を出る間際、女の方がくすくす笑いながら追い打ちをかける。
「クリスマスだってのに、バイトなんてかわいそーっ」
(――ぐっ……。ああ、くそっ、何だってんだよっ……!)
だが、ありがとうございました、と頭を下げるしかない。
店長がどなる。
「カイジくん! ゴミ出しまだやってないのー?」
「あっハイ、すみませんっ……!」
外に出る。案の定、ダストボックスにはゴミがあふれている。だが今日はまだましだ。きっと明日の朝、この辺りは酔客の残した土産――汚物まみれになっていることだろう。
(ま、俺のシフトじゃないからいいけど。佐原のやつザマーミロ)
ちらばったカップ麺の箱やペットボトルを袋に押し込む。
天気は快晴。
コンビニの制服でもそれほど肌寒くなかった。ふと、上を仰ぎ見る。
(あれ、クリスマスの日って、こんなに青空だったか?――あ)
飛行機が白い筋を引きながら空を行く。
きっと気候の条件が揃っているのだろう、よく見れば真っ青な空に何本も飛行機雲が描かれていた。
(――姉さん、元気かな)
左手で陽の光を遮りながら、カイジはゴミ袋を持ったまま、眩しそうに空と雲を見つめていた。
了
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