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シモネタあり・軽め
「お前さあ……」
立ったまま煙草に火を点け、池田が聞いた。
「セックスとかもう知ってるのか」
突然の質問だった。
一瞬、なんと答えていいものかわからなかった。涯が黙っていると、池田は窓の外に灰を落とした後に、振り向いた。
「どうなんだ」
「え――。ああ、はい。一応。学校で」
「学校だぁ?」
「保健体育の時間にですよ」
「そんな勉強あったか?」
とりあえず、涯は学校で教わった知識を披露する。
「あ、あと、コンドームの付け方とかも――ビデオで」
「えぇっ! そんなことも教えるのか……今のガキがませてるわけだよ」
質問の意図は見えないが、池田がびっくりする顔を見るのは面白かった。
ただこうやって、『普通に』会話できる相手など涯にはいなかったのだから。
利害関係。
池田と涯の関わりはその一言に尽きる。
これまで全てが押し付け、一方的だった涯と世間。
そこに空いた風穴が、この池田という男。
確かに素性は怪しいのだが、涯を一人前として――利害を共にするものとして認めてくれた、初めての人間なのだ。
口は悪いが、涯が一人で暮らし始めてからも、ときどきふらりと現れる。これまでも、表面的な会話しかしたことはない。それが気楽だった。――だが。
(なんで急にそんなことを)
「涯」
疑問に応えるように、池田は言った。
「この仕事は危険なんだ」
「わかってます。大丈夫、俺、強いですから」
「ばか、そんなの問題じゃねえんだ、ヤクザ相手にはよ。それこそ、麻酔でも嗅がされて拉致された日にゃ……」
池田は言葉を切った。
「やられちまう」
「やられる? ――殺されるってことですか」
真面目な顔の涯。池田のサングラスの奥の目が少し緩む。
「いやいや、そこまで無茶はしないと思うがな。つまり、男だろうが性の対象になっちゃうってことだよ」
「性の対象……?」
「早い話が、ケツの穴にチンコ突っ込まれるんだよっ!」
「えっ?」
池田は目を逸らして煙草の続きを吸う。
「えええぇっ!」
今度は涯の方が、たっぷりと驚く番だった。
「だって……、そんな――嘘でしょう」
「そういうの聞いたことねぇのか?」
涯には初めて聞く事実だった。例えば男が襲われるという話は、痴女?に、無理矢理射精でもさせられるのかと思っていた。そればかりではなく、さっき自分が説明したような手順で、男が――男に……? そんな辱めの方法もあるというのか。
そして、池田が憂慮しているのは、つまり、自分が。
まさにそういう危険にあうかも知れないということなのだ。
「だって――無理でしょう絶対」
「無理矢理だろうがなんだろうが、いたぶることにかけちゃ、奴らはプロじゃねえか」
「そう、ですけど」
混乱に不安が混じる涯の顔を見て、池田は笑った。
「だからよ。今日から時間がある時に、俺が鍛えてやるから」
「鍛える? 拳ならオレ……」
「そうじゃねえ、こっちよこっち」
自分の尻を叩く。
「え」
涯の混乱は更に混迷を極めた。
(つづく――かも)
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