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スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

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fkmt学園パロディ
アカギ&治

クリスマスイヴ(電車のCMのあれ)のパクリ





   ◇◆◇◆



「え、またですか? だってこの間も先輩たち、アカギさんに負けたばっかりでしょう」

今日は一緒に帰るつもりだったのに、アカギさんは麻雀部の連中に勝負を挑まれてしまったのだと言う。

「俺は構わねえよ、ちょうど金もないし」

金がないから勝負を受けるって、アカギさんにとっては先輩たちが財布代わりらしい。でも。

「だけど……今日はクリスマスイヴですよっ?」
「ん? 関係ねえだろ、そんなこと」
「――そうですけど」
「すぐ終わるとは思うが、治は先に帰ってろ」
「わかりました……」

それはそうなんだ。
クリスマスだからって別に何がどうだというわけじゃない、俺はアカギさんの家族でも恋人でもないし。 それはそうなんだけど、な。
俺はただ、一人で帰るのはつまらない、と思っただけなんだ。


◇◆◇◆


結局、俺自身も委員会で遅くなり、気がつけば外はみぞれまじりの雨。最終下校の時間になり、校舎の外に出される。

部室の方を見れば、まだ明かりが付いていた。

(アカギさん傘持ってるのかな? 絶対持ってないだろうな)


俺はアカギさんを待つことにした。
おせっかいかな、とは思うけど。いくらアカギさんが普通じゃない人だからって、こんな雨に濡れたら寒いはずだよな。


部室には行きたくなかった。今行ったら俺が毟られてしまうのは眼に見えているから。
どうしてこんな俺が麻雀部に入っているのか、成り行きという他はなかったが、アカギさんがこの学校にきて先輩たちに勝ってからは、先輩たちの『たかり』もそれほど露骨では無くなっている。


「――あれ?」

気がつけば、ゆっくりと静けさが降り積もるように、さっきまでボタボタ、びちゃびちゃと降っていたみぞれが雪に変わっている。

傘をずらして空を見上げた。
吸い込まれそうな白い闇から、果て無く雪が落ちてくる。


狭い視界には校庭の木々も校舎も映らない。
本当は学校もアカギさんも全部幻。
この白い世界には、俺がただ独りいるだけ………………なーんて。


さすがに冷えてきた。傘を持った指先がしびれたので反対の手で持つ。
アカギさん、早く来ないかな。もし会えたらなんて言おう。

『今終わったんですか? 偶然ですね、俺も委員会が長引いちゃって』

ダメだダメだ、わざとらし過ぎる。それに、嘘ついたってすぐにバレちゃうし。やっぱり、ちゃんと待ってたって言った方が――でも、ウザイって思われるかな。
よし、じゃあ。

『傘、ありますよ』

そうだ普通に言おう、普通に。要らないって言うかな? それともアカギさんだったらもっと……。


(あっ!)

部室の方から人影が現れた。
先輩たちの怒号がうっすらと聞こえたが、すぐに掻き消える。そして既に雪が降り積もったかのような白い髪が見えた。手元には赤い火が灯っているだけで、やっぱり傘は持っていないようだ。俺は慌てて校舎の影に隠れる。
ハイライトの匂いがここまで漂ってきた。

(こんな天気の中でタバコを吸うなんて)

雪で火が消えるかどうかは、一種のギャンブルだ。でもアカギさんは勝つだろうな。俺は可笑しくなる。


濡れた足音が近づく。
校庭は水はけのいい方だったが、さすがに今日は至る所に水たまりが出来ていた。
アカギさんのスニーカーも、俺と同じように染みてしまっているだろうか。

(来る……!)

俺は深呼吸をひとつする。

あと三歩。

二歩。

一歩――。



(おしまい)

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