◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。
◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。
◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。
◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意
(エロ・がっつり)
二人で温泉にいく話です。
夢の内容は学パロなんですが……そのうち書くかも。(←書かないフラグ)
◇◆◇◆
「――っていう夢を見たんだ」
「ほう」
ここは都内から数時間という温泉旅館。
治の所属する町会の温泉旅行に欠員が出たため、誘われて仲井も参加したのだった。
既に宴会はお開きとなり、メンバーは三々五々部屋に引っ込んでいる。
せっかくだから、と大浴場に入ったまでは良かったが、湯疲れした治は横になったかと思うとあっという間に寝てしまった。仕方なく仲井は、宴会で残った料理をつまみにひとり晩酌を始めた。そして、ビール一本を開けたかというところで治が目を覚まし、埒もない夢物語を語ったのだった。
寝乱れて少し肌蹴た襟元を整えながら、治はちゃぶ台の方へにじり寄った。仲井は煙草を吸い終え、コップに口を付ける。
「俺にもちょうだい」
「ん」
仲井が新しい瓶に手を伸ばそうとすると、それでいい、と仲井の持っていたのを指差す。
「一口でいいんだ」
「子供は水でも飲んでるたい」
「うるさいな」
口を潤し、料理の残りをつまみながら、やっぱり水飲もうかな、などと呟く。仲井はしばらく治が食べるのを見ていたが、もう一度、煙草に手を伸ばした。
「静かだね」
「ヒマたい」
「のんびりしに来たんだろ?」
「まあ、そうだが……。ばってん、そげな夢見るなんて、治はん学校ば行きたかね?」
「どうかなあ。あ、でもクラブ活動って面白そうだよ」
「クク……麻雀部ね。美味いカモになってくれそうたい」
「夢って不思議だよね、寝てたのは一瞬なのに数時間分の体験したみたい」
夜半はとうに過ぎていたし、離れに位置するこの場所には、他の部屋の物音は届かないようだ。二人が黙っていると、煙草の火が巻紙を焦がす音まで聞こえた。
「――で?」
「ん?」
「また、やらしいことしてたんか、夢で」
「してないっての!」
「どうだか」
その言葉に、以前に見た夢でも思い出したのか、急にもじもじ始める治。煙草をもみ消し、仲井が視線を走らせると、ためらいがちに言う。
「……あのさ、もう一回、温泉行く?」
「なにたい、大丈夫なんか?」
「せっかく来たんだし、内風呂の方も行きたい」
「したら、後でな」
仲井は少しだけ腰を上げた。正座していた治に顔を近づけ、耳もとに手を添える。それから唇を啄もうとすれば、自ら出迎えた治が甘えた声で聞く。
「後でって……何の後?」
「そりゃあ、ナニの後たい」
「うっわ、オヤジくさ」
「なに言っとうたい。して欲しいくせに」
「へへ」
口角をなぞるような愛撫から、次第に内部を侵していく。静かな部屋に仲井が治を貪る音が響く。それから、白地の浴衣に手を滑り込ませると、あっという間に胸元を露にした。
「……!」
治は思う。
皆で風呂に入るときはどうということもないのに、仲井が相手だと何故こうも恥ずかしいのだろうか。おそらく、仲井が自分のことを欲の対象として見ているからなのだろう。それは自分も同じわけだが――。
「仲井、さ」
「あ?」
「俺が……仲井のこと……仲井の体、見たら……」
「?」
「恥ずかしい?」
「はあ?」
押し倒した治の胸元を撫でながら、仲井は首を傾げる。
「別に……。何度も見てるたい」
「やっぱり……ずるい」
「意味分からん」
男の胸とはいえ、しこりを持ち始め、相手が欲情しているのがわかると、十分にそそられるものがあった。仲井が指で突起を摘むと、治は声をあげる。
「んっ」
「おいに見られるの……恥ずかしかね?」
治は頷く。
「恥ずかしがることなか、『男同士』たい」
「男同士だから……恥ずかしいんだろ!」
仲井は顔をあげ、わざとらしく言う。
「ばってん治はん、恥ずかしいと余計に感じるんと違う?」
「えっ……ちが」
「まーた、反対のこと言っとうね」
馬乗りになった仲井は、にやにやと治の上半身を見回す。
「ほれ、触っとらんのに」
「……」
「見てるだけで乳首立っとうよ」
治は仲井を睨んだ後、上気した顔を背ける。
「ホンマにやらしい体たいね」
「ちがう……」
しかし仲井はそれ以上の意地悪を言わず、屈みこんで治に口づけた。
ホッとしたような表情を浮かべた治は、仲井の股間に手を伸ばす。
「もう欲しいんか?」
「……うん」
「なんや、急にいい子になったたい」
「意地悪……言うなよ」
「わかったわかった」
そう言って仲井は、治の頭をひとつ撫でた。
◇◆◇◆
「ダメたい、いじっちゃ」
「何?」
「治はん、後ろだけでイけるたい」
「えっ?」
仲井は前方を刺激しようとする治の手を抑えようとするが、治は抗う。
「や、だぁ」
「ほれ、大人しく……」
「だって」
顔をうつ伏せ膝を付き、尻を上げた格好で、治は自らの雄をきつく握り締めている。背に被さった仲井が布団との間に手を差し入れて引き離そうとしても、目を瞑ったままいやいやをする。後ろから快楽を穿たれ、精は今か今かと解放されたがっているのだ、無理もなかった。
「しゃあない」
仲井は一旦、雄芯を引き抜いた。
「っ!?」
治の腰のあたりでもたついていた浴衣の帯。衣服を統制する意味をなさなくなっていたその紐で、虚を突かれた治を後ろ手に縛る。
「えっ? 仲井、なに?!」
「気にばせんとよ、大丈夫大丈夫」
「大丈夫じゃないだろ! なんだよコレ!」
「ええ子たい、治はん。ほれ、すぐイカしてやるたい」
「ちょっと……あっ」
仲井が後孔に入ってくる。再度入り口から内壁を撫でられる快楽に、きつく目を閉じて応える。
「――っくう」
「なにたい、そげに気持ちよかね」
布団にうずもれた顔をわずかに後ろに向け、治は抗議した。
「バカッ」
「ククク……ほな、もう一回な」
仲井はゆっくり抉るような動きで治を探る。縛られた腕をぴくぴくとさせ、素直に反応する治の”いい場所”を見つけるのは容易かった。
「あっ……あっ……だめ」
体の奥からせり上がってくる不安と衝動。最後の弾みをつけたいのに、腕の自由を奪われてはどうしようもない。治は体勢を崩し、欲の中心を布団に擦り付けようとするが、仲井に腰をがっちりと固定されてしまう。
「ほれー、ダメたい」
「やっ、やだあ……イキそうなの……に」
「もうちょっと、なあ」
「あっ……ん、やあっ……」
前ははだけていてもまだ浴衣を羽織ったまま。それだけに、尻や襟元からのぞく肩が艶めかしい。昂った仲井が執拗に攻めれば攻めただけ、治はねだる。
「やっ……仲井、おねがい……イかせて」
肩越しに振り返った顔と目が合う。潤んだ瞳に懇願されるまでもなく、仲井も動きが止められないところまで来ていた。
「治っ……」
抑えた腰に自身を叩きつけながら、仲井は呻くように声をかける。
先走りの蜜を零しながら、治は指を動かしてもがく。さらに深く、仲井が快楽を押し込んでくると手放しかけた絶頂が見えた。治はすすり泣きに近い嬌声を上げた。
「うっ……あっダメ……だめ……あっ、ああっ!」
世界が明滅し、自分の膝に生ぬるい白濁が散るのを感じたが、治は崩れ落ちずに踏みとどまる。体の内に留まる仲井の雄に意識がいくと、後ろの孔に力を込める余裕もあった。仲井もそのことに気づく。
「なに、今日は……頑張っとうね?」
「んっ……う、ん……」
自分の動きに合わせようとしている治に煽られ、仲井にも限界が近づく。
「なあ、またイケそうか?」
治は首を振る。
「じゃあ」
仲井は治の縛めを解く。解放された治が肘を付き、少し体勢が変わるが、そのまま仲井は更に押した。
「……っ!」
搾り取られる。精も根もこの男のために捧げている。なのに満ちて、満ち足りていくのが不思議でしょうがない。何度体を重ねても同じだった。
仲井は尻だけが露になった治の後ろ姿にそっと掌を添える。それから、脇腹に手を滑らせ、後ろから抱きしめた。
「くすぐったい」
その言葉通り、耳をくすぐる声。仲井は治の男根をきゅっと握る。
「っ!」
「なにたい、もう硬くして」
体を横たえた治の耳元に、声をかける。精を吐き、急速に萎えていく自分自身を感じながら、治をもう一度きつく抱く。
「――だから、仲井がそんな事するからだよ」
「な、風呂、行こうたい」
「うん」
痺れるほどの抱擁を残し、自分からするりと出て行った仲井に、治は短く応えた。
◇◆◇◆
「――内風呂なのに露天風呂ってどういうこっちゃ」
「そこはどうでもいいだろ」
「ほうか?」
「やっぱり昼間もう一回入りたいなあ」
昼なら紅葉の季節だったろうが、真夜中、遠景の山は濃い闇でしかない。しかし、庭木から落ちた桜の葉が数枚、湯船に浮かんでいる。
「葉っぱ、真っ赤だ」
「露天風呂っちゅうとやっぱり、ここで酒持ってきて飲みたいところたい」
「ビールしかないけど?」
「ん? これ、春は花見じゃなかとね」
「あ、そうだね、きっと。それもいいなあ。その前に雪も降るだろうしね」
どこかまだ夢見るような表情の治に、仲井はポツリと聞いた。
「――また来るか?」
「え?」
先の知れぬ関係は互いに望んだ結果である。今、二人をつなぐのは細い細い糸のような口約束だけである。次の日の予定さえ、聞いたことなどなかった。
だからこそ、二人でいる時間がいとおしい。そうであるべきで。
だが、治は応える。
「そうだね」
同意を得て、安心したような顔で遠くを見る仲井。
視線の先には黒ぐろとした闇。
それから、ふっと目を閉じる。
仲井の横顔を見ながら治は考える。
またここに、こうして。
仲井はどういうつもりで言ったのだろうか。
深い意味はないのかも知れない。
ただ単に桜が見たいだけなのかもしれない。
約束という安穏。
それは自分たちに必要なのだろうか。
身一つであの男について行った時のように、仲井に自分を預けることはできなかった。
何よりも、自分で立たなければいけないと決意したからだった。
それに、仲井に依存することは怖かった。あの男を失って以来、何かに心を預けることはできない気がしていた。
それとも自分は逃げているだけなのだろうか。
先を考えなければ、仲井がいなくなっても傷つかずに済むだろう。
やはり考えてもわからなかった。
だから治は考えるのをやめた。
「俺も桜見たいよ。でもその前に紅葉でもう一回、ね?」
湯船の中で仲井に抱きつき、唇を重ねる。
もう一度ここに、仲井と二人で来られたら。
そうなったらいいと、単純に信じることにした。
(了)
PR