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女装モノですが、わりとライトです。
絡み寸止め。
全体的に、ふざけた感じです。
続きも書きたい気もしますが……保留……保留……。
2chの「女装してたらツレに犯された」というスレを見て、女装もいいものだなあと思いました。
当人にはすごく気の毒な話ですが。
◇◆◇◆
「うー今日も寒いたい」
「もう閉店だよ」
「わかってるたい」
明かりの消えた治の店にやってきた仲井は、勝手に残り物のコーヒーを注ぎ、一服する。
「こたつの電気点いてるよ。奥行ってて」
「いや、一度入ったら出られなくなるたい。あすこは魔窟たい」
「何言ってんの、入ってなよ。自分が欲しがったくせに」
煙草とカップを手に、仲井が奥の部屋に上がると、新しく買ったこたつの他にも、見慣れぬモノがあった。三和土の脇に大量の服が積んである。
「治はん、この服なんね? セーラー服? 学生服?」
「それかあ。今度温泉行くって言ったろ? その時の余興で、使うんだって。ちょっと置かせてくれって」
「ああ、そういやあ町内会とか言っとったか。あれ? 女物多いが、行くんはおっさんばかりじゃなかとね?」
「そうだよ、みんなでタカラヅカみたいなことやるらしいよ」
「なにたい、それ。狂気の沙汰たい」
「まあ、いいじゃない。宴会なんだから」
戸締りをしてきた治がこたつに滑りこむ。
「暖かいなー。やっぱり買って良かったー」
「おいも温泉行きたか……こたつで我慢しとくたい」
仲井は言葉を継ぐ。
「女物といえば」
治の隣に寄って、頬をつまむ。治は怪訝な顔をした。
「ん?」
「前から思っとったが」
「なんだよ」
「治はん、女顔たいね。目もくりっとして色も白いし。まあ、ちと眉が太かばってん」
まじまじとそれぞれのパーツを見ながらそんなことを言う。
「はあ? 失敬だな、俺は男だよ。眉だって昔は細かったんだからな!」
「昔?」
「初登場時……じゃなくて、工場にいた頃! それに色白なのはアニメ設定――あ」
「……」
踏んではいけない虎の尾。禁断のパンドラの箱――。仲井の顔色は蒼白となり、一気に落ち込んでいるのが明らか。
(まずい)
「あー、ごめん」
「はあ……。よかよ、よか。アニメ化でもなんでも好きにしんしゃい。どうせおいには関係なかごつね」
「もう、拗ねるなよ~。仲井だってゲームには出てるんだろ」
「携帯アプリのことか? おいの携帯には対応しとらんたい」
「え――携帯って何?」
「知らん」
※一応再確認――この話の舞台は昭和40年代です。(すみません)
「ま、まあとにかく……機嫌直せって」
「別にヘソ曲げてるわけじゃなか」
「いやどう見ても曲げてるだろ! っていうか博徒的にどうなの、その分かりやすさは?」
「大きなお世話たい。――あ、せや」
仲井は一転、にやりと笑う。こたつから出ずに、寝そべって先程のセーラー服を手を伸ばす。
「じゃあ、治はんがこれ着たら許してもよか」
「ええっ?」
別領域からの反撃に、今度は治の方が色を失う番だった。
「何言ってんだよ、それ借り物なんだぞ」
「あっ、そういうこと言うんね。なにたい、なにたい。ちょっとくらいサービスしたって誰も困らん」
「俺が困るよ。っていうか何のサービスだよ」
「この流れで着ないって選択はなかとね」
「流れって何さ」
「――じゃあもう知らん。OVAの話が来るまでおいは帰らんとよ」
「それは誰も困らない、ってどこ行くんだよ! おい嘘々、仲井いないと俺が困るって」
「……」
「わかったよ、そんな目で見るなあ。着るよ」
「……!」
「だから分り易すぎるんだよ、お前は。考えてること、顔に全部出てるっての!」
ひったくるように衣装を受け取る。こたつから出ると、恨めしそうに言った。
「じゃあ、むこう向いてろよな」
◇◆◇◆
「これで……いい?」
「お! なかなか似合っとるたい」
褒められれば、治もまんざらでもない様子。
「そうなのかな? 鏡――なかったっけ」
「でも髪型それやとちょっと……ん、こんなんあるとよ?」
「何これ、カチューシャ?」
「こっちのぼんぼりの方がよかね。座ってみ、つけてやるたい」
「なんでそんなに嬉しそうなんだよ」
煙草をもみ消し、いそいそとこたつから出た仲井は、短い髪に、器用にゴム止めをつける。仲井に髪を弄られるのが好きな治は、黙ってされるがままになっていた。
「ほれ、なかなか、べっぴんたい」
「そういう仲井は完璧にノリがオヤジだな」
再度髪飾りの位置を直そうと手を伸ばした仲井は、治の方をじろりと見て一瞬動きを止める。
「な、なんだよ」
「――今日はやけに反抗的たいね」
「べ、別にそんなことないだろ。ちゃんと言われた通り着てやったろ」
「ああ、わかった」
「ん?」
仲井はにやにやと笑いながら治の髪を撫で付ける。
「恥ずかしいからごまかしてるたい」
「そりゃあ恥ずかしいに決まってんだろ、こんなこと」
「そうじゃなしに」
出来栄えに満足するように、全身を眺める。治もつられて自分の足を見る。確かにここだけ見れば女の子のようだ。
「自分、結構……気に入ってるんじゃなか?」
「バカ言え!」
「ふーん」
無造作に座った治の足元は、裾がめくれている。仲井は、のぞいていた片方の膝に手を置いた。治は明らかにぴくっと反応するが、仲井がそれ以上何もしないでいると、顔を背けて捨て鉢に言う。
「――俺、仲井みたいに変態じゃないし」
「ん~? 変態ってどういう意味たい」
「どういうって……」
斜め下方を見据えたままの治の顔を見ながら、仲井は膝から腿へ、手を動かす。
「あっ、やめろよ」
「あーん?」
「だ、大体、女が好きじゃなかったら、こんな格好させて喜んでないだろ! 男でも女でもいいってずるいだろ」
「はあ? 何たい、そんなこつ……」
拗ねるような治の表情に、思わず頬が緩む。仲井は腿から手を離し、顔を近づける。
「『治はん』が」
唇に触れるか触れないかの軌道をたどり、耳元で囁く。
「『こんな格好』だから」
「え?」
一瞬、口づけられると思った治の虚を付き、指を絡め、そっと体の重みをかける。
「そそるたい」
治はゆっくりと畳に背をつく。
スカートの中に入ってきた指は、冬の乾燥した空気のせいか、いつもよりこそばゆく感じる。
(寒い……。こたつと仲井、どっちが暖かいのかな)
頭の隅で思うのは、埒もあかぬ想像。しかし、それもすぐに消えてしまうことになるのだった。
(了)
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