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アカギの話。
死にネタじゃないとは思うけど生と死とかそんなアレ。まあいつものぐだぐだ系。
べ、別に命日近いとか関係なんだからねっ・・・!
書きたくなったから書いただけなんだからっ・・・!
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暑い午後だった。
俺は学生街の雀荘を出て、歩き出した。
ちょうど昼飯時、垢抜けた体裁の学生達の流れに逆行して、そのまま近くの公園を通り抜ける。俺は一服しようと日陰を求めて、木の根もとに腰掛ける。
服を探るが、丁度タバコは切れてしまっていた。
――なんだ、飯じゃなくてタバコ奢ってもらうんだったな。
しょうがねえ、と俺はそのまま寝転がった。
仰向けになれば視界は一転、空と木の梢だけになる。公園にめぐらされた鉄柵も、乾いた埃っぽい地面も消える。学生達の喧騒もどこか遠くに聞こえるようだ。
桜だろうか。
夏の間に成長しきった葉が、時折顔の上に落ちてくる。
そしてその向こうにぽっかりと秋の空。やけに明るい水色と、影となった黒い葉。
じっと見つめていれば、やがて遠近感がおかしくなる。
見上げているはずの空を、覗き込んでいる気分になる。
時折たなびく雲も、ゆらめいて――。
そう、俺が覗いているのは。
――まるで、水の中だ。
空の底。
海。
死の淵。
あいつらが沈んでいる。
手招きをしている。
相変わらずの陰気臭い顔で。
――わかってるよ。
俺も行くさ、必ず。
誰だってみんな行くんだ、慌てるなって。
だが残念だな、今日はそんな気分じゃない。
「俺は寝るよ」
死人達はがっかりしたような顔で嘆く。単に徹夜明けの疲れた脳が見せる幻覚、幻聴。それは分かっている。
だが、俺は最後まで相手をしてやる。
――いいじゃないか、寝るのも死ぬのも大して変わらないだろう?
そう応えてから目を瞑る。
死者たちの呻き声は段々遠くなる。
気持ちの良い風が頬を撫でる。
途端に俺は水の底から這い上がっていた。
俺の体。
やり場のない熱を抱えた精神と肉体。
そんなことどうだっていいのに、糧を得、猛る衝動を吐き出す。生きるために。肉体があるがゆえに、人間であるがゆえに。
そして――今感じている心地良さも間違いなく、俺の体があるがゆえに。
ぬるくベトついた勝負の汗を消し去るように、再び風が俺の上を通り過ぎる。
そうだな、最後の最後、人間であるということに満足して行ける……。
そんな死に方だったら悪くないんじゃないか?
無意識の淵に飛ぶ瞬間。
俺の問いかけに答える者はいない。
だが、重ねて俺は聞く。
――なあ、この風はどこから吹いてくるんだ?
(了)
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