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スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

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アカギの話。

死にネタじゃないとは思うけど生と死とかそんなアレ。まあいつものぐだぐだ系。
べ、別に命日近いとか関係なんだからねっ・・・!
書きたくなったから書いただけなんだからっ・・・!



□■□■








暑い午後だった。
俺は学生街の雀荘を出て、歩き出した。
ちょうど昼飯時、垢抜けた体裁の学生達の流れに逆行して、そのまま近くの公園を通り抜ける。俺は一服しようと日陰を求めて、木の根もとに腰掛ける。


服を探るが、丁度タバコは切れてしまっていた。

――なんだ、飯じゃなくてタバコ奢ってもらうんだったな。


しょうがねえ、と俺はそのまま寝転がった。
仰向けになれば視界は一転、空と木の梢だけになる。公園にめぐらされた鉄柵も、乾いた埃っぽい地面も消える。学生達の喧騒もどこか遠くに聞こえるようだ。


桜だろうか。
夏の間に成長しきった葉が、時折顔の上に落ちてくる。
そしてその向こうにぽっかりと秋の空。やけに明るい水色と、影となった黒い葉。
じっと見つめていれば、やがて遠近感がおかしくなる。

見上げているはずの空を、覗き込んでいる気分になる。
時折たなびく雲も、ゆらめいて――。

そう、俺が覗いているのは。

――まるで、水の中だ。


空の底。

海。

死の淵。

あいつらが沈んでいる。
手招きをしている。
相変わらずの陰気臭い顔で。


――わかってるよ。


俺も行くさ、必ず。
誰だってみんな行くんだ、慌てるなって。


だが残念だな、今日はそんな気分じゃない。

「俺は寝るよ」

死人達はがっかりしたような顔で嘆く。単に徹夜明けの疲れた脳が見せる幻覚、幻聴。それは分かっている。
だが、俺は最後まで相手をしてやる。


――いいじゃないか、寝るのも死ぬのも大して変わらないだろう?


そう応えてから目を瞑る。
死者たちの呻き声は段々遠くなる。


気持ちの良い風が頬を撫でる。
途端に俺は水の底から這い上がっていた。


俺の体。
やり場のない熱を抱えた精神と肉体。
そんなことどうだっていいのに、糧を得、猛る衝動を吐き出す。生きるために。肉体があるがゆえに、人間であるがゆえに。

そして――今感じている心地良さも間違いなく、俺の体があるがゆえに。
ぬるくベトついた勝負の汗を消し去るように、再び風が俺の上を通り過ぎる。


そうだな、最後の最後、人間であるということに満足して行ける……。
そんな死に方だったら悪くないんじゃないか?


無意識の淵に飛ぶ瞬間。
俺の問いかけに答える者はいない。
だが、重ねて俺は聞く。

――なあ、この風はどこから吹いてくるんだ?



(了)


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