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ラブシーンあり・がっつり
――深夜。
既に明かりを落とした治の店に、電話のベルが鳴り響く。
電話などめったにかかってこない。しかもこんな時間に誰だと訝りつつ、布団に入りかけていた治は受話器を取った。
「よう」
「あれ? どうしたの」
仲井が電話とは珍しい。いや、初めてかもしれない。確か今日は個人的な賭場で麻雀を打っている筈だった。
新しくできたモダンなホテルが会場だとかで、少し自慢そうに言っていたのだ。
「もうな、終わったとよ」
「そうか……で、どうだったの」
「もちろん勝ったばい」
「良かったなあ」
危険を伴うこともあるホテル麻雀。勝負云々よりも、仲井が無事だということに、治はホッとする。主催にはホテルのオーナー筋の者もいたようで、余裕があればそのまま同じフロアの部屋に一泊できるという。
「それがな、最後にまさかという手が入って……」
要件だけで切るかと思えば、勝負の内容を細かく話しだす仲井。
「なあ、長電話まずいだろ?」
「大丈夫大丈夫、これ、部屋に電話ついとるたい」
「へえ。なあ――仲井?」
「何たい」
「明日は来る? 俺の店」
「ん? ――ああ」
少しだけ沈黙が訪れる。
「なにたい、寂しいんか」
「違うよっ、バーカ」
「ふうん」
仲井は間を置いて言った。
「なあ」
「何?」
「今から、せんか?」
「ん? 何を」
仲井はややあって言う。
「電話の横、ソファあるやろ」
「うん」
「だからな、そこ座って、自分で握ってみ」
「自分で? え……まさか」
治は思わずつばを飲み込む。
「おいの言う通りするたい」
「え、やだ恥ずかしいよ」
「アホか、誰もおらんやろ」
「そりゃそうだけど……」
電話台をずらす音が聞こえたのか、仲井が聞く。
「座ったか」
「ん……」
「じゃあ、ズボン脱いで」
「え~やだよ、ここ寒いもん」
「あ、せやな。じゃ、ちょっとだけ下げるたい」
ただ服に手をかけるだけでも、妙に鼓動が高まる。治はそのまま指示を待った。
「握った?」
「うん」
「勃ってるんか」
「ちょっと」
「なんや、早いばい」
「う~うるさいの。……次は?」
怒ったように甘える。
「先っちょぬるぬるしてんのか」
「まだ」
「じゃ、そっとシゴくたい」
言われたとおりにすると、すぐに先走りが溢れる。濡れるのが心配になった治は、内腿あたりまで、下着をずらした。
擦りながら尋ねる。
「ね、仲井は?」
「あ?」
「俺と……同じ?
「あ、ああ」
「気持ちいい?」
「気持ちいい」
(そっか)
相手はどんな格好をしているのか?
俺のこと想像して、興奮しているのか?
今のオレと同じように?
もどかしいような、煽られ昂るような感覚。受話器を通すと、普段は言えないことも、言ってしまいそうでどこか怖かった。
「ね、もっと気持ちよくして?」
「――わかったばい。――自分で入れられるか? 後ろ」
「えっ。うん」
「ちゃんと舐めてからたい」
「っ!」
握っていた手を離し、そっと口に含む。自分のものとは言え、かすかに雄の匂いが漂う。しかし、それが仲井のものと考えると、一人昂ぶってしまう。
いつもされているように、自らの口腔をなぞる。迎える舌で指の股までしゃぶる。それから足を開き、前からそっと自分の穴を解す。
「入れたんか?」
「う、ん」
「動かせる?」
この指は知っている。どこが蕩ける場所なのか。こみ上げる快楽。治は堪らずソファに横になる。
「ん?」
「仲井、だめ、俺……」
「いきそうか?」
「ん……あ、でも前も擦っていい?」
「しょうがないたい」
仲井に許可を求め、指示に従う。それすらも快楽を高めている。無意識のうちに、そんなマゾヒスティックな思いに酔う。
治は寝そべったまま、ソファに置かれた受話器に擦り寄るように、耳を寄せた。
後ろから射精を急かされ、治の前方は限界が近づく。
(あ、オレ、このまま出ちゃう、かも)
一瞬、後始末の心配が頭をよぎるが、もう猶予はなかった。
「治はん」
「あっ……えっ……あん……」
自分を呼ぶ湿った声が耳朶を打つと、すぐにでも爆発しそうになる。思わず、ぎゅっと先端を握りしめて堪える。
「はぁ……はぁ……なかい……ね、俺、いっちゃう」
「いっていいたい……なあ名前、呼んで」
(名前……?)
「な、治……っ……はぁ……」
普段は意識したことのない仲井の呼気。受話器を通すとはっきりと聞こえてくる。その声が鼓膜に響くと、これ以上無いくらいに、全身が火照る。
「はぁ……っく……はぁ……」
「んっ……なか、い?」
仲井の呼吸が荒くなり、それに合わせるように治も手首を動かす。
先端を解放させて、もう一度擦り出せば、絶頂はすぐにやってきた。治は耐えきれずに相手を呼んだ。
「あぁっ……じゅ、純平っ! じゅ……ん……」
「……! 治っ……」
自分を呼ぶ切ない声に押され、行き場のない精が下着の中で弾けた。
□■□■
「――仲井、聞いてる?」
再び身支度を整え、治は受話器を取った。
「もちろんたい」
「気持ちよかったけど」
「ん」
「俺、仲井のそば……行きたい」
隣にいれば、何も言わなくても通じる気がするのに、電話だと、なぜかもっと話さなくてはいけないような気持ちにさせられる。心の底にあった思いを、無理矢理引き出すような気持ちに。
「会いたいよ」
「治……」
しばらく目をつむり、受話器を両手で抱える。治は明るく言った。
「もう寝ようか?」
「――せやな。じゃあ、もう、切るたい」
「わかった。――おやすみ」
「ああ」
電話を切ってからも、治はしばらくそこに座っていた。
ぼんやりと、自分が言った言葉の意味を考えていた、が――。
「ふわぁーあ……」
眠気には勝てず、布団に戻っていった。
□■□■
――明くる日。
まだ営業時間前に店のドアが開く。
「仲井!」
手に菓子折りを持って入ってくる。
「早いね」
「ん、ああ。まあな」
「なんだよ、俺に逢いたくなったのか?」
「アホっ、そんなやなか」
目を逸らし、土産といっしょに、紙切れを手渡す。
「ん? なにこれ」
「請求書――おいと折半するたい」
「はあ?」
「電話代!」
見ればとんでもない値段。優に三十分以上『会話』をしていたのだから、当然と言えば当然であるが――。
「なんだよこれ~! オレ聞いてないぞ!!」
「男は細かいこと言うんじゃなか」
「お前が……言う……」
紙切れを振り上げた腕と腰を掴まれ、文句を言う口が塞がれる。
夕べなぞったように、仲井の舌が治を嬲る。
「……んっ……」
解放された時、治は言う。
「なあ、オレ、やっぱり……直接やった方がいいな」
「せやな――これならタダたい」
「お前ね……。でもホントだ」
治は笑い、自分からもう一度唇を重ねた。
(おしまい)
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