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スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

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悪魔

暴力的表現多少あり(傷とか)






終電を逃した。
時々、こんな夜がある。
胃袋を浸すほど酒を飲みたくなる夜が。

多分何かを忘れたいのだと思う。しかし、同時にそれを忘れたら本当に楽になれるのか疑問でもある。
だからどこかでセーブをしている。
矢木には心の底から酔うことは、できなくなっていた。


家に帰る電車がなくとも問題はない。近くにアパートがあった。もともとは身を寄せている組のモノだが、ほとんど別宅のように使わせてもらっている。それは矢木が代打ちとして信用をなくしてからも、有効だった。


ドアに手をかける――と、カギが開いていた。不審に思い、用心して室内を見れば、そこには黒い塊が転がっている。


矢木はぎょっとして後じさった。
電気はついていないが、外の明かりが反射して、塊についていた二つの目がきらりと光る。

「矢木さんじゃない――おかえり」


忘れたかったその相手は、傷だらけだった。まだ生々しく血の固まっていないところもあれば、打撲による痣もあった。

相変わらず学生服を着ているところを見ると、まだ学校に行っているのか。それともそれしか服がないのか分からない。白いシャツのところどころは暗く汚れている。返り血かもしれなかった。

かつて自分を貶め、限界までたたき落とした相手。この男によって矢木は矜持を――全てを失った。


一呼吸してから尋ねる。

「――何してる」
「ちょっとね、近くに来たもんだから」

白い悪魔は横になったまま力なく言う。

「休憩さ」


見上げる瞳は矢木を捉えた。そして、口元には笑み。
見下ろしているのは自分なのに、矢木は食われる、と思った。



(了)
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