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ラブシーンあり・軽め
仲井は治の方を一瞥する。それからコップの酒を、くいっと飲んだ。
「――いるか?」
治は首を振る。それから再び、視線を手にやったまま、ぽつぽつと話し出す。
「俺――ここしばらく何だか落ち着かなくって。それで、仲井が遠くに行ってるって聞いて余計不安になってさ。なんだろ、こんなこと前は感じなかったのに」
仲井は治を見つめた。煙草に火を点け、すぐに煙を吐き出す。
「――なんや頼りない相棒たい」
「相棒?」
仲井はそっぽを向く。
「名前なんぞ何でもよか。治はんが言うたばい、おいのこと……必要って」
「……うん。でも、それは代打ちのことだろ」
「まあ、そうだが」
店でトラブルがあった場合、麻雀で片が付く場合なら、仲井が治の代わりに打つという約束だったのだ。
「でも、じゃあさ」
治はなぜか縋るような顔つきになる。
「仲井は俺のこと――」
「必要に決まってるたい」
「ホント?」
「なんで嘘つかな……おいは! 治はんの……」
「――やっぱり、体目的?」
「は?」
真面目な顔で唐突なことを言う。
「それでもいーんだ、俺。だって、なんだかよくわかんなくなってきた」
「な、何言っとう……たい。それはこっちのセリフたい」
「え~? なんで」
「なんでって……」
いささか酔いが回った仲井はいつにも増して饒舌だった。
「治はん、おいは――あんさんの為に帰ってきたと」
「?」
「あんたの顔を見ないと落ち着かんのは、おいも一緒たい」
「え――」
仲井は半分自分に言い聞かせるような調子で続ける。
「こんな生業やし、そげな甘い気持ちで勝負に向かうのはどうかとも思うんやが――。実際、あの店行くとホッとするばい。他にもそういう客、結構多いたい」
「仲井……」
「だから明日も朝イチで行こう思て、無理くり帰ってきたとよ」
言うだけ言うと、仲井はしばらく煙草をふかした。
少し照れたような顔の仲井を見ていた治は、口を開く。
「――そうなんだ。そういうの、改めて言ってもらうと、うれしいよ、俺」
「ほうか」
「俺なんかが、なにか世の中の役に立ってるのかなって思うこと多いけど……でも、仲井がそう言ってくれるなら――」
仲井はちらっと治を見る。それからまた、目を逸らした。
「やっぱり――俺も貰おうかな」
「ん? おう、飲め飲め」
仲井はうれしそうに酒を注ぐ。治は膝を崩し、ちびちびと飲み始めた。
「ねえ仲井ー」
「ん」
「でも……やっぱり俺、仲井としたいなー」
ぶっと噴く仲井。
「そ、そういうことは改めて言わなくてもいいたいっ!」
「えーなんで」
「そんなん――最初から――わかってるたい」
「だって……んっ……」
顔を近づけ、早くもろれつが回らなくなっている口を塞ぐ。
「……っ……」
しがみつく手に力が入る。ひとしきり口腔を犯されると、酒の力もあって、治の目はすっかり潤んでいた。
「おいも、治はんのそういう顔……もっと見たいと……」
「う~……やっぱり体目的……」
「なんとでも言うたい」
「じゃあ、俺も」
もう一度。
今度は治の方から身を寄せ、口付ける。
会えなかった日々を埋めるように、治の心と体を、夜がゆっくりと満たしていった。
(了)
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仲井は自分の気持ちを理解してるけどあんまり表現できなくて、治はストレートに表現するけど自分の感情を分析できない、みたいな感じでしょうか。なかなか大変な二人ですねっ。この先も楽しみです。