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赤いネオンが流れていったのを最後に、車窓の外には何も見えない。人家の明かりもないということは、畑か田んぼでも広がっているのだろうか。暗い窓には自分の顔が映る。
仲井は地方の好事家によって開かれる賭場に向かっていた。毎日雀荘に入り浸っていれば、時には高レートの勝負へ声がかかることもある。
ヤクザ連中が混じることもあるし、もっとタチの悪いやつらもいる。後ろ盾のない仲井にとって、そういった面子と打つ危険は百も承知だが、身一つの気軽さで、呼ばれればどこへでも行く。
大抵は金でカタがつく話のわかる連中だが、血の気の多い者はそれではきかない。
しかし、そんなのは範疇だった。
もちろん仲井とて命は惜しい。少々危ない橋を渡るのは仕方がないが、兎にも角にも命と金。それさえあれば、なんとでもなると思っていた――これまでは。
深刻な己の顔を見れば、思わず笑いがこみ上げる。
(――大仰やな。まるで死地にでも赴くようたい)
自嘲的に嘯くが、自分でも気づいていた。
勝負に対する心構えがまるで違う。
決着のその先に。
帰りたいのだ。勝って。
あの男のもとへ。
また一つ、自分は欲深くなったようだ。
窓の向こうには、再び明かりがちらついてくる。
自分の顔がぼやけたと思った時、のんびりした声のアナウンスが聞こえた。
もうすぐ到着だった。
(了)
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