◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。
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ラブシーンあり。がっつり
学生×給仕
エロ小説サイトさんに登録しようと思って書いたサンプル作品です。
とりあえずカテゴリ無しで。
でもアレだと思うとめっちゃ本気出るので、
大きな声じゃいえないけど、
自分の中ではパラレルとして書いたつもりです^^;
いろいろがっかりする内容だと思うので、
fkmtとは別物として楽しんでいただければいいかも。かもー。
タイトル浮かばねえ……
もしかしたらそのうち消すかも。かもー。
□■□■
「いらっしゃい」
扉を開けるといつもの明るい声が迎えてくれる。ここは学生街から少し離れた場所に立地する喫茶店。客層もやや年配者が多い。
カウンターでなく窓際の店全体を見渡せる席で、古本のページを繰る。貧乏学生の私には少々贅沢な時間だった。
珈琲が運ばれてきた。熱く黒い液体に角砂糖を数個沈め、溶ける様子を見ていると、給仕が私を非難した。
「あーあ、そんなに砂糖入れちゃって」
「――うるさいな」
「いくらなんでも入れ過ぎ。せっかくの珈琲の味が台無しですよ」
「俺は甘党なのだ」
「知ってますよ、お客さんはお酒にも砂糖を入れるんでしょう」
「何を馬鹿な」
うっすらとソバカスの残るあどけない顔で、クク、と笑う。マスターや他の客には従順な態度のくせに、何が面白いのか、自分にはよく突っかかってくる。しかし、この給仕と交わす一言二言が、最近の自分にとって何よりの至福となっていた。
「ごゆっくり」
「ふん」
銀色のトレイを両手で抱える後ろ姿を、こっそりと見送る。
私より、ほんの少しだけ背が低いと知っていた。だが、ベストの上からでもわかる細い腰からすらりと伸びた足が、美しいバランスを保っている。
埒もないことだとは思うが、もしかしたらこれが恋という気持ちなのかも知れなかった。そもそも相手は青年である。
通常なら心を打ち明けて仲の進展の仕様もあるだろうが、男子を相手に何がどうなるというものでもない。おそらく、役者相手に黄色い声をあげる奥様連に似た心境なのだろう。
こんな思いなど成就しない方が華。私はそんな境地にも達していた。
ただひたすらに、この時間が幸せ――そう、幸せだった。
カップを口にする。甘味が喉を通り抜ける。
今日は比較的客の入りが良かった。私は懸想相手があちらこちらへ足を運んで、注文を取りに行く姿を横目で見ていた。
――と、厨房から出てきた彼は、片手に料理の入った皿を持ちこちらにやって来た。
「サンドウィッチです」
「注文してないが?」
「サービスです」
いつも珈琲一杯で粘る素寒貧の自分に、そんな事をされる謂れはない。
訝しがる私に、給仕はカウンターを伺いながら、こそっと耳打ちする。
「実は、オーダーミスで、処分しないといけないんです。今日は混んでるから間違えちゃって」
「ああ」
「どうせ、今日も珈琲だけなんでしょ?」
「余計なお世話だ」
私だけに囁く言葉。悪戯っぽい表情。甘い残滓をそのままに、再び本に目を落とす。喧騒のなか、給仕の視線を横顔に感じる。
「賄い代わりに頂いたんですが、僕、食べきれなくて――だから半分どうかと思って」
私が黙っていると、給仕は蝶タイを弄りながら言葉を継ぐ。私は顔を上げ彼を見、襟元から覗く白い首の先を思った。
「もし、あなたがお嫌でなければ……ですが」
憎まれ口の後に見せる不安そうな顔。
金がないのを見透かされているのは頭にくるが、根底にあるのは自分への親切心。特別扱いを純粋にうれしく思う。
「しょうがない、手伝ってやるか」
片眉を上げながら私が答えると、給仕は微笑み、「良かった」と小さくつぶやいた。
□■□■
学生仲間と麻雀をし、酒を飲み、遅くなった夜だった。私は普段通らない道を友人と二人、歩いていた。――と、連れが肘をつつく。
「おい見ろよ、男娼だ」
「男娼?」
見れば高級自動車から、そぐわない風体の青年が降りてくる。男のくせに胸元を開け肌を露出させた服装は、確かに素人ではない雰囲気を漂わせている。
「大方、どこぞのエロ親父にでも買われてるんじゃないか」
深々とお辞儀をして車を見送るその男娼がこちらを向く。その顔に見覚えがあった。
向こうもこちらを見て、はっという顔をするのがわかった。しかしそのまま逃げ去るように、行ってしまう。
「俺、この後用あるから……」
友人と別れ、私は彼を追った。
□■□■
「なあ、待ってくれ」
逃げるのを諦めた彼は、足を止めて大きく息を吐いた。
「まだ仕事が残っているんです」
「客をとるのか」
振り向いた彼は、横を向き自嘲的な微笑を向ける。初めて見る表情だった。
白く顔を塗ってでもいるのか、見慣れたソバカスは隠されている。
「そうですよ――あなたにだけは、知られたくなかった」
「どうして」
給仕は答えなかった。
この場所は昼はオフィス街となる地区で、道を行く者はほとんどいない。しかし時折通る自動車が気になった。
「ここではなんですから、あちらへ」
給仕――いや男娼は、私を狭い路地の方へ誘った。
□■□■
「その……」
彼を捕まえてはみたものの、何を話したらいいのかわからなかった。
「さっきのは?」
「さあ? 僕はお金を受け取って奉仕するだけですから」
「いくら……くらいで……その」
「あなたには買えないですよ、学生さん」
捨鉢な調子で言う。こんな彼は嫌だと思った。
「いつから……」
「あなたには関係ない」
「おい」
目線を合わせない彼になんとなくイラつき、手首を掴んでいた。
「痛いっ――な、何を」
文句を言おうとして顔を上げた彼の顎を持ち、唇を重ねる。瞳が見開き、抵抗する力が抜けるのを感じた。白粉の匂いが鼻についた。
「何するんです」
冷静な声で非難されれば、本当に何をしているのだろうという気分になる。だが、一度ついた衝動は止まらない。
「俺が……買ってやる」
蠱惑的な眼差し。瞳の奥に笑みを見たのは気のせいだろう。
「僕は高いですよ」
そう言って彼は、私にもう一度口づけた。
「……?!」
口づけというのは文字通り口をつければ終わりだと思っていた。彼に舌を入れられ、口腔を侵されていると今までに感じたことのない情動が体のあちこちから沸き上がってくる。私は彼に応えるようにして、舌を絡めた。
私が彼を攻めると、彼は鼻にかかった甘い声を出した。この声がもっと聞きたくて
、首筋から広く開いた胸元に指で、舌で愛撫を与える。いつもはネクタイで守られていたはずの彼の上肢。乳首が硬くなっているのを感じると、なぜか妙に高ぶってしまい、私はそこを甘噛みした。
「あっ……ダメ……」
彼は私の手をとって、下衣に導いた。
「服、脱がせて……」
ズボンを膝まで下ろし、下半身を顕わにさせる。ぼんやりと闇の中に浮かぶ白い足とその付け根にそそり立つ、自分のものと同じ、男性のシンボル。そして彼の状態を見れば、やはり自分と同様に欲情しているのは明らかだった。頭にかっと血が昇り、私は思わずそこにむしゃぶりついていた。
「えっ、ちょっと……お客さ……やだ」
すべらかな彼の分身がただ愛しく、私は夢中で吸ったり舐めたりした。時折、ぴくりと反応があり、先走りの蜜が自分の口腔を潤すのを感じた。何をどうしていいのかもわからず、自分を慰める時のように、握りこんだ手首を動かしてみる。
「あっ……あぁ……ああんっ……やぁ……」
壁に背を預けた彼は、切ない啼き声をあげながら、私の頭を弄ぐる。
「やめっ……僕……出ちゃう……出ちゃ……!」
喉の奥にあたる衝撃。青臭い匂いをかろうじて飲み込んでから、私は盛大にむせた。
「だ、大丈夫ですか……?」
「も、問題なか……」
私の背中をさすりながら、吹き出す。
「……何だ」
「お国の言葉、出てますよ」
「え?」
「僕、すぐにわかりましたよ、自分と同郷だって」
「そうか」
それで懐かしくなって、私にいろいろ突っかかっていたのだろうか。私は複雑な気分になった。
「それに……お客さんヘタですね」
「何が」
「尺八」
「そ、そんなもん初めてやったけんっ」
「また……」
彼は私のズボンを下ろしながら笑った。
「……!」
張り詰めた私の一物を口の中に収め、深く咥え込む。舌先で鈴口を刺激しながら、ゆっくりと出し入れされる。いつもは小鳥のような囀りを奏でる口が、まるで別の生き物のように私を快楽の縁に誘った。
「うぅっ」
すがるようにして彼の頭を撫でる。彼は私の双球にまで手を伸ばし、やんわりと揉みしだく。そして、両手を使って竿をしごき、私を追い上げた。彼を見ていたいのに、快感が過ぎて気が遠くなりそうになる。
「……止め……てくれ……」
口を離して、私を見上げる。口から覗いた舌とあどけない表情がかえってエロティックだった。
「もう、イキそうですか?」
私が頷くと、先走りにぬめる私の雄に、さらに自分の唾液をたっぷりと絡める。それから壁の方を向いて、振り向いた。
「いいですよ、入れても」
「え?」
「僕は――平気ですから」
初めてのことに私が動揺しているのがわかると、自分で後ろの孔を押し広げる。
「あなたの……入れてください」
私は自分の竿をつかみ、立ったまま挿入を試みた。彼の小振りな尻に、自分の欲を押しあてるだけで興奮した。白い太股が私の淫らな涎によって汚され、ぬらぬらと光っている。だが、滑って目測を誤る度、彼が漏らす切なげな嬌声に、何が何でも入れてやりたいという気持ちになっていく。
「あ……」
ゆっくりと、私の男根は彼を穿つ。彼はわずかに震え、自分を受け入れた。背筋に一体となった快感が登っていく。
私はそのまま彼に覆いかぶさるように、肩を抱いた。首筋に愛撫を与えながら、泣きたいような気持ちになっていた。
「動いて……」
「ああ、うん」
まるで獣のように、私は彼をなぶる。暗い路地に、水気を帯びた音が反響する。
「はっ……あっ……ああっ……!」
そのたびに彼は呻く。それが痛みなのか快感なのかは判然としなかったが、私が密かに思い描いていた淫らな妄想が現実となった今、この律動が止められるはずもなかった。
突き上げる衝撃を受け止めきれないのか、彼は壁にもたれかかった。
「大丈夫、かい……?」
「……はあ……はあ……うぅ……あぁん……」
頷きながら腰をこすりつける。その仕草に煽られた私は、もう一度その細腰を掴み、何度も上下させる。絶頂はすぐに見えた。
「出して……中に……いっぱい……」
「ああ……」
その言葉に押され、力いっぱい穿つ。
「あっ……あぁん……!」
すると彼の方にもう一度絶頂が訪れたようだった。壁に白い染みが散る。
背をのけぞらせる彼の中に、私は精を放った。
「……じゃあ料金は後で請求しますからね?」
私が答えずにいると、彼はつぶやくように言葉を継ぐ。
「だけど不思議だな……お客さん、ヘタなのに。――気持ちよかった」
「し、失敬なヤツだ!」
「フフフッ」
衣服の乱れを直しながら、給仕のときのような調子で言う。怒ったふりをしてみたものの、私はやっぱり彼が愛しいと思った。
「でもやっぱり――」
ぼんやりと遠くでも見るような表情になる。これも初めて見る顔だった。
「あなたにだけは、知られたくなかった」
彼は繰り返した。
□■□■
数日後。
どこか浮かれたような気持ちで、私は閉店間際の喫茶店に足を運ぶ。懐には家庭教師のアルバイトで手にしたばかりの金。詳しい事情こそ聞いていないものの、少しでも彼の手助けがしたい、そんな気持ちがあったのかもしれない。
彼の姿は見えなかった。私はカウンターに腰掛け、マスターにそれとなく訪ねてみた。
「――辞めた?」
「そうなんですよ、突然ね。やっとコレの使い方も覚えたばっかりだってのに、全く、近頃の若いのは根気がなくっていけない」
サイフォンがゆっくりと珈琲を抽出していた。主人がぶつぶつと愚痴るのを聞きながら、私はあの夜の給仕の白い足を思い描いていた。
闇の中に浮かぶ彼の太股は、今夜もまた誰かの手によって、開かれるのか。しかし、結局自分も同じ穴の狢であり、私は彼の名前さえも知らないのだった。
そういえば彼がお国言葉を話すところは一度も聞けなかった。彼はああやって過去を封印して、これからも生きていくのだろうか。
「どうぞ」
初めて座ったカウンターで、初めて砂糖を入れずに珈琲を飲んでみた。
想像よりも苦くなかった。ただその甘みの無い芳醇な味わいは、口の中にいつまでも残っていた。
(了)
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