◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。
◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。
◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。
◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意
ラブシーンあり・がっつり
「春雨」の続きになります。少々始まり方が唐突ですみません。
二人は店に戻ってきた。
雨に降られた仲井は髪までずぶ濡れである。
額をかき上げた飛沫が治の方まで飛んできた。もっとも、傘を差していた治も肩には大きな染みができている。仲井は上着を脱ぎ、入り口のコート掛けに掛けた。
「それも少し拭いた方がいいね?」
「……ああ」
「じゃ、仲井先に……」
戸締りをして振り向こうとした瞬間、抱きすくめられる。
――雨の匂い。
肌に張り付く湿った服が冷たい。ただ重ねた唇だけが生暖かかった。
「もう!」
治は目を開けて口を尖らせる。
「早く体拭けよ。シャワーするとかさ……」
そう言って体を離そうとした。だが仲井は治の服に手をかけ、ボタンを外しながら言う。
「せやな、確かにこのままは……じゃ、いっしょに入るたい」
「えっ? 狭くて無理に決まってるだろ。」
「お湯代節約たい」
「俺はいいよぉ――ちょ、っと」
返事を待たずにシャツを全開にさせられ、冷やりとした外気が腹をくすぐる。これでは自分の方が風邪を引いてしまいそうだった。
「しょうが……ないなあ」
治が答えたときだった。
「治はん」
「ん」
「勃っとる?」
腰に添えた方と反対側の手で探られる。そしてその通り、既に治の分身は芯を持ち始めていた。仲井は少し意地の悪い目つきになる。
「もう欲しいと?」
「ち、ちがっ……そんな、つもりじゃ……」
「あーそいで、おいば迎えに来たとね」
「違うってば! そういうこと言うならっ、俺……俺……」
「冗談たい、そんなに怒らんと」
「……っ」
ぎゅっと腰を引き寄せられ、口を塞がれる。唇を、頬を啄むように愛撫しながら、仲井は囁いた。
「傘、ありがとうな?」
「んっ? ……うん」
「あん時」
「?」
「ちょうど煙草吸いたかったとよ」
「……。――あっそ」
「冗談たい」
「……分かってるよ」
「ククク……」
もう一度、顎を持って深く口付けられると、治の中の熱はやはり急激に高まってしまう。仲井の方も、そのままシャワーを浴びるつもりはなさそうだった。力いっぱい抱きしめられた後に首筋を攻められ、壁に背をつく形になる。
「俺……」
「ああ?」
「なんでもない」
「んー、はっきりせんたい」
治は仲井の上着を掴んだ。互いに立ったまま、仲井の愛撫が治の胸元に移る。
「んうっ」
どういった具合なのかはわからないが、以前より、明らかに受ける快感が増していた。
指と舌によって既に硬くされた突起は、まるでそこだけ別の感覚器官に繋がっているかのようだった。仲井が吸い付き、音を立て、ふわりと解放する度に、自分の中に欲が溜まっていく。しかし、体の方は力が抜けてしまうのだった。
治は壁に背を付けたまま、ずるずると崩れ落ちた。
「ほれ、しっかり立つとよ」
顔を上げた仲井にそう言われても、足先にまで走る、痺れるような感覚が治を蕩けさせていく。
「だって……あっ……力入らな……く」
「んじゃあ、そこ座りい」
仲井は治を立たせ、休憩用の長椅子に座らせた。
「何たい、情けなか」
「仲井の……せいだろ」
眉をひそめて抗議する治の隣に腰掛け、再びその唇を貪る。それから仲井は顔を離して、頬を包み込むように親指で撫でた。
「そうやって、すぐ怒るたい」
「怒ってないよ」
「だけん、その顔」
「ん?」
「もっと、見して」
「――っ」
反対側の指で、また胸の突起を抓む。治が目を細め、身を捩る様を嬉しそうに視る。
ズボンの前が張り詰め、たまらずに手を掛けた治の腕を仲井は掴んだ。
「あっ、自分で、脱ぐよ」
「ん?」
湿った上着をそのままに、治は下半身を露にした。仲井もその間に下衣だけを脱ぎ、長椅子の上で治に重なった。仲井が体を預けると、治はシャツに顔を近づけて、つぶやいた。
「仲井の……匂いするね」
「なにたいそれ」
機嫌が直ったらしい治に口付け、その間に分身を弄り、後方まで解す。仲井は無言で入っていった。しばらく動かずにいたが、治に囁く。
「なあ」
「……えっ?」
「首に、つかまるたい」
「んっ?」
言われるままに治は仲井の首の後ろに手を回す。仲井は開いた両腕でぐいっと治の腰を引き寄せる。そしてそのまま椅子から降りて立ち上がった。
「えっ? あああッ!」
自重によって深く貫かれる体勢。だが、ほとんど腕だけで支えられる不安定な格好であり、治は思わず足を仲井の尻に絡めた。
「重く……ない?」
「問題なか」
「ホント?」
「ホンマたい」
そう言って仲井は何度か腰を突き上げる。深い結合は痛みに似た圧迫感すら与える。
「ああっ? あっ! あああ!」
初めはされるがままだった治も、自ら快楽の場所を探りだし、相手に合わせて内股と首に回した手に力を込める。ところが、絶頂が見えたという刹那、仲井の動きが止まる。治は訊ねた。
「えっどうしたの……あ、やっぱり重い?」
「重くはないが……」
「?」
「ちと、こっちが辛い」
仲井は自分の股間にちら、と目をやる。おそらく立位の無理な体勢は雄身に負担がかかるのだろう。
「じゃあ無理すんなよ~」
「すまんたい」
治は長椅子の方を見た。
「そこ? それとも布団行く?」
「ここでいいたい」
一旦下ろそうとする仲井に、巻きつけた手と足にぎゅっと力を込め、治は言う。
「俺も、このままがいいな」
「……ほうか」
体を繋げたまま、仲井は治を長椅子に横たえる。それからすぐに抽送を始める。睦言は絶え、静かな室内には互いを求め合う、二人の荒い息だけが聞こえた。慣れた体位での安心からか、ほどなく治が達し、仲井も後を追った。
□■□■
「いっしょに入ろ、なあ?」
「ぅん」
機嫌を直した治は素直に言う。
「じゃほら、早く仲井もそのシャツ脱げよ。俺、先に行くから!」
「一服したら行くばい」
もともと店舗が中心のビルで風呂はないが、改装の時にシャワーだけはつけてある。銭湯まで行くヒマがない時は割と重宝した。
治は目をつぶってしばらく湯を浴びる。冷たくなった体に温かさが浸透していった。仲井が入ってきた。
「狭いたい」
「だから言っただろ……。でもやっぱり気持ちいいなー」
「ん」
「体あっためたらすぐ出よう?」
「ああ。……っ……っ」
「?」
仲井はくしゃみをした。
「絶対風邪引いたな」
「も、問題なか……」
そしてもう一度。
「馬鹿っ、ツバ飛ばすなあ! ――ほらみろ、すぐに拭かないから」
「治はんがサカってるけん、しょうがなか」
「どっちが……!」
治は手早く体を洗い、先に出ようとする。
「じゃあ」
仲井も石鹸を泡立てながら言う。
「お見舞いはメロンでいいたい」
「何言ってんだよ、看病なんかしてやらないからなっ、俺!」
「ええっ~……? なにたいそれえ」
「なにたいじゃない! お前最近甘え過ぎじゃない?」
「そ、そんなことない……たい……?」
シャワー室を後にする治の背にむかって、もう一度くしゃみをする。
「ちと寒かね……うーん、こりゃホンマに風邪かもしれんたい……治はん?!」
「なにー?」
「この際カレーでもいいたい……風邪の時はあったかいものの方が……」
「えー?! なに? 聞こえないんだけどー?」
シャワーの音でかき消された、仲井の繰り言が現実となるのは――それから数日後のことである。
PR