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スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

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空気

目が覚める。
初めに思ったのは、ここはどこだろうということだった。

段々と闇にに目が慣れてくると、急に思い当たるひとつの実感。
自分は――生きている。


確かに死んだと思った。だが、こうして生き残った。死ななかった。
別にうれしいとも残念だとも思えなかった。

ただ生きている――生き長らえる。それがどういう意味か、俺にはもう十分すぎるほどわかっているつもりだったから。



その時。
窓でも開いているのか、一陣の風が頬を撫でた。

――あ。


外からやってきた風は清新。雨の後のむせるような緑の風。湿っていながら爽やかな初夏の匂い。室内の淀んだ空気とは明らかに違う別物だった。

そして俺は気づく。
俺には……ただ足りなかっただけなんだ。

空気が。


ずっと、どこかで生きたいと思っていた。
まるでロウソクのように。もっともっと燃えたいと思っている。

――だから空気。

この心地良い風のように、新鮮な空気を。ロウソクに送ってやらなくちゃ。
こんな空気をもう一度吸えると思えば、死を覚悟するのも悪くない話。
それが俺に取って、生きるってことなのだ。


一度死んだ人間。
いつでも死ねる人間。

そんな俺にこそできることが……いや、俺にしか出来ないことが。
必ずある。

だったら見てやろう。この風がどこから吹いてきてるのか。世界を――。


少し強くなった風が髪を乱す。滾りそうな熱をも諌めるような、涼やかな空気。
だが、風に煽られればなお、俺の決意は熱く燃え盛るようだった。



(了)
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