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目が覚める。
初めに思ったのは、ここはどこだろうということだった。
段々と闇にに目が慣れてくると、急に思い当たるひとつの実感。
自分は――生きている。
確かに死んだと思った。だが、こうして生き残った。死ななかった。
別にうれしいとも残念だとも思えなかった。
ただ生きている――生き長らえる。それがどういう意味か、俺にはもう十分すぎるほどわかっているつもりだったから。
その時。
窓でも開いているのか、一陣の風が頬を撫でた。
――あ。
外からやってきた風は清新。雨の後のむせるような緑の風。湿っていながら爽やかな初夏の匂い。室内の淀んだ空気とは明らかに違う別物だった。
そして俺は気づく。
俺には……ただ足りなかっただけなんだ。
空気が。
ずっと、どこかで生きたいと思っていた。
まるでロウソクのように。もっともっと燃えたいと思っている。
――だから空気。
この心地良い風のように、新鮮な空気を。ロウソクに送ってやらなくちゃ。
こんな空気をもう一度吸えると思えば、死を覚悟するのも悪くない話。
それが俺に取って、生きるってことなのだ。
一度死んだ人間。
いつでも死ねる人間。
そんな俺にこそできることが……いや、俺にしか出来ないことが。
必ずある。
だったら見てやろう。この風がどこから吹いてきてるのか。世界を――。
少し強くなった風が髪を乱す。滾りそうな熱をも諌めるような、涼やかな空気。
だが、風に煽られればなお、俺の決意は熱く燃え盛るようだった。
(了)
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