忍者ブログ

スケッチ無頼

◆男性同士の恋愛(エロ含む)などを扱っております。 ◆閲覧は自己責任でお願いします。リンクフリー。転載などする際は一言お願いします。 ◆福本作品の二次作品中心です。個人ページであり、作者様・関係者様とは一切関係ありません。 ◆作品にならないスケッチあるいは管理人の脳内妄想だだもれ意味不明断片多し注意

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

nangou04

【ホモエロ がっつり注意】









◆◇◆◇◆


 座り直した南郷は、自分自身を握り込んだ。服を脱いだことで冷やりと感じた醒めた気分も、背に寄りかかるアカギの体温が、まるで本当の情事のように、他人との対峙を意識させる。
 半勃ち状態は過ぎ、もう引き返せない熱を抱えていた。無意識に先程のアカギの”感触”を反芻する。

(アカギはなんで、あんな……)
 単純に、若さ故持て余した欲なのか、それとも――。
(まさかオレを相手に欲情したなんて事はない、よな)
 頭では、冷静なつもりでそんなことを考えているが、体は、雄芯は、益々猛っていく。
(じゃあ、オレはどうなのか。こんなに昂ぶっているのは何故だ)
 論理的な思考で気を逸らすつもりが、結局、考えるのは背中合わせの相手のこと。アカギのこと。
 胸が押し潰されそうな緊張。それなのに顔は火照り、怒張は先走りの蜜を垂らし始める。

「ねえ、南郷さん」
「な、なんだよ」
「せっかくだからさ。いっしょにやろうよ」

 嫌な予感がした。ざわ、という心が総毛立つ予感。

「ほら、こっち向きなよ」
「いっしょに、って……」
「死ぬも生きるもいっしょ。クク……。それが一蓮托生ってことだろ?」
 アカギは嬉しそうに笑う。
「な、何が」

 胡坐をかいたまま振り返ると、アカギは南郷の足を少し開かせ、目の前に、向かい合わせに座った。突然至近距離に収まったアカギ。腿に載せられた足の重みだけが現実感を帯びている。
 アカギが目線を落とした先には、はち切れんばかりの自分の欲。短いシャツだから丸見えである。無遠慮に眺めるアカギの視線が恥ずかしくて、思わず反対の手でも隠そうとする。しかしアカギはその手を払い、南郷の急所を抑えた。
「なっ」
「なんだ、南郷さん。結構ノリノリじゃない」

 右手に重なったアカギの指が先端に滑る。その指に甘えるように、蜜が更にぬるぬると溢れ出すのがわかった。
「あっ」
「フフ……」

 挑むような瞳。大人をも凌駕する、あの嵐の夜の気配を刹那嗅ぎ取る。アカギはシャツの前側を肌蹴させた。そこにあるのは紛れもなく雄の象徴。南郷はなぜか、もう引き返せないという諦めに似た気持ちを感じた。アカギはペニスを自分で握り込み、南郷のそれと重ねる。指とは違う太く柔らかな弾力を感じた。

「南郷さん、ほら」

 いっしょに、とは、つまり同時に扱き合うという意味なのだろう。導かれるままに南郷は指を絡め、自身と、アカギの雄身を擦った。

「うっ……ああっ……」

 先走りが手にぬめる。それが自分のものなのか、アカギのものなのか。擦る指もどちらのものか次第にわからなくなってくる。無我夢中なようでいて、アカギのペニスがぴくんと脈打ち、彼が熱っぽい息を吐く度に、妙に冷静になる自分もいる。
(お前も、俺と同じように、感じているのか? 欲を吐き出したいのか?)

「やっぱり…、上も脱ごうか…?」
「えっ……あぁ……」

 少し上ずった声でアカギが言う。先にシャツを脱ぎ、アカギの傷だらけの白い肌が現れるのを見ていると、口付けたいような衝動に駆られたが、危うく自制する。中断されたにも関わらず、南郷の猛りは限界までそそり立った。
 今度は少し持ち方を違え、つまり、お互い相手のものを中心に握り合う形で、擦りあった。再び先走りが絡み合う。南郷は自分のもののようにアカギを攻める。アカギも、南郷がイキそうになると、じらすように緩急をつける。悦楽の共有。肌の重なった部分から、感覚までもが溶け合っていくようだった。ゆっくりと追い上げ、追い立てられ、二人で高みにせり上がっていく。もたらされる快楽は自慰の時とは比べようもなかった。

「だ…めだ……あぁ……」
「……っ……」

 絶頂が見えた南郷は、たまらず空いた手でアカギの腰を引き寄せた。包まれるように下腹部が密着する。

「アカ…ギ……オレっ……出っ……!」
「……あっ…!」

 南郷の射精が刺激となって、アカギも果てたようだった。放たれた白濁は交じり合い、互いの腹部を伝った。快感が強く、びくびくと、後を引く射精。二人は互いの肩にもたれかかり、しばらく動かなかった。


◆◇◆◇◆


「ふー……」

 寝そべってタバコの煙を吐く。傍らでアカギも横になる。
「しかしお前……」
「何?」
「いや、なんでもない」

 アカギは口をつぐんだ南郷の横顔を見つめた。
「南郷さんが言おうとしてること……大体わかるよ」
「え」

 俺が何を言おうとしているというのか。

 しばらく黙った後、アカギは言った。
「……あんたがあの時見せた狂気」
「オレが?」
「あの晩の、捨て身のウーピン切りさ」
「ああ」
「ああいう狂気に焼かれる生き方――、面白いって思った」
「えぇ?」

 狂気に身を預けろ。確かアカギは昼間、そんなことを言っていた。

「俺にはそんなこと……」
「フフ……。認めろよ。誰もが持っている狂気。南郷さんは、それに向き合えたってことじゃない。――さっきもね」

 誰もが持っている……。
(確かに、あんな暴挙、あんな破廉恥なこと、まともな大人のすることじゃない、か)
 しかし。

(俺がおかしいっていうのか)

「面白い……よ……」


 言うだけ言うと、アカギは先に眠ってしまう。
 置いてけぼりにされた南郷は、タバコを揉み消す。そして、あどけなさの戻った寝顔を見つめる。

(とんでもない、魔性だ)

 厳密には情事ではないのだろうが、それと変わらない後ろめたさ。貪ってしまった自分への自己嫌悪。それを相手のせいにしようとしていた。
 しかし。
 思えばこの少年は、誰とも目を合わせない、誰とも向き合わない、そんな人生を送ってきたのかもしれない。
 否。
 周りがそうだったのだろう。
 圧倒的な才気。それは周りの人間に畏怖をもたらす。
 異端。
 アカギと対峙できるのは、狂気に炙られた人間だけ。

 南郷はアカギの白い髪を撫でてやる。

(こいつは、人間に飢えているんだ。
 どこかで、自分と相対する存在を求めている。
 しかし、この男の圧倒的な渇きを満たせる人間が、果たしてこの世にいるのだろうか)

 ――乾いた心。
 そう、アカギがこれから進むのは、間違いなく修羅の道。
 苦しみに彩られた人生。悪鬼の棲む闇。
 しかし、この男を、闇に放ってしまったのは――。

(この俺だ)

 狂気をアカギに託してしまった。自分は逃げたのだ。
 アカギは突っ走る。どこまでも、たとえ先に地獄が見えていても、走るのをやめる気配はない。そして、いつ出会うとも知れぬ幻想の相手を探して、彷徨い続けるのだろう。

 ……死ねば助かるのに……

 南郷に対し、アカギが初めに言った言葉。
 狂気と孤独を抱えて生きていく。こいつの生に、どれだけの希望があると言うのだろう。

 南郷は天井を見つめた。
 雨漏りの後だろうか、黒ずんだ染みを眺めていると、逃げ出したくなるような不安に駆られる。
 アカギの将来に、差し迫った自分の未来が重なる。
 追い落とされる絶望。
 足元から這い上ってくる恐怖。
 アカギに対する責任感のような思い。
 一蓮托生。
 南郷の眼に、仄暗い光が宿る。南郷はむくりと起き上がった。

(アカギ……)

 アカギは眠ったままだった。その生き様にはどこか野良猫、あるいは野生動物を思わせるところがあるのに、寝つきがいいのが不思議だった。

(それとも、オレを信頼しているとでも言うのか)

 眠っているアカギの首に手をかける。ぐっ、と力を加えると、少年は目を開けた。一瞬驚いた顔をして、反射的に南郷の手首を両手で掴む。

「南郷、さん……?」

 見据える瞳。どこまでも暗い深淵が、今、自分の手によって閉じられようとしている。顰めた眉に苦痛が滲んでいる。

 しかしアカギは抵抗するでもなく、目を閉じた。両手に込められた力が抜け、南郷の指の上に添えられた。

(アカギ?)

 うっすらと目を開け、もう一度南郷を見る。
 口元に浮かぶのは、自分を殺そうとする男を受け入れる微かな笑み。

「――!」

 南郷は理解する。自分の傲慢を。狂気を。
 自分に全てを委ねている、無垢な心への裏切り。
 アカギの未来、人生、幸せ、そんなものを勝手に斟酌している。
 この自由な魂を、己の矮小な価値観が縛ることなど、元より出来はしないのに。

「アカギぃ!」

 首から手を離す。
 気管が解放され、再び送り込まれる酸素に咽るアカギ。
 南郷はその首元に抱きついた。

「すまない、アカギ。本当にすまないっ!」
「な、なんだよ」
 本当にきょとんとしているアカギのことを、ただ、愛しいと思った。

「重たい」
 耳元で文句を言うアカギ。何を言われても、嬉しいと思った。
(オレはコイツに惹かれているのだ。狂おしいほどに)
 そんな単純なことに、やっと気がついた。


◇◆◇◆◇


「――で、本当に、大丈夫なのか?」
「問題ないよ。そんなに心配なら、一緒に来るかい?」
「あ、ああ。そうだな。そうするよ」

 勝負の前日。

 アカギは暴力団の呼び出しを受け、出かけるのだと言う。
 そんな必要ないと説得する南郷に対し、アカギは、どうしても譲らなかった。

「はあ……。うまく行くわけないんだ」
「大丈夫だよ、ちゃんと地図書いたから」
「そういう意味じゃない」
「クク……」

 巨額の資金をかけた麻雀勝負、その対戦相手の呼び出し。
 監禁か、脅迫か、これからどんな目に合うかもわからないというのに、アカギは何故か嬉しそうだった。

(無茶だ。本当に無茶苦茶な奴だ)

 しかし、その無茶な奴に魂を預けてしまったのだから仕方がない。
(こうなったらどこまでも一蓮托生だ)

「アカギ、待ってくれよ」

 南郷は何度目かわからないため息をつき、アカギの後を追った。




PR

コメント

コメントを書く

お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カテゴリー

最新記事

プロフィール

HN:
Indy
自己紹介:

ブログ内検索

アーカイブ

最新コメント

[09/10 NONAME]
[07/22 NONAME]
[03/31 NONAME]
[03/30 NONAME]
[05/24 Indy]

リンク

最古記事

(12/18)
(12/18)
(12/19)
(12/19)
(12/20)

フリーエリア

RSS

忍者アナライズ